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大阪ジャズ同好会第41回(2020年2月9日) ②特集「中間派テナー、バディー・テイト、ドン・バイアス、ラッキー・トンプソンの名演』

February 11,2020

特集「中間派テナー、バディー・テイト、ドン・バイアス、ラッキー・トンプソンの名演』

担当 竹村 功氏

以下、当日配付されたレジュメに記載されたコメントを編集せず転載いたします。尚、録音データ並びに写真についてはブログ作成者が追加した項目もございます。

(1)ドン・バイアス(1912~1972)
オクラホマ州出身、1937年にニューヨークに進出し、各バンドを経て1940年にカウント・ベイシー楽団に入ります。その後、ミントンズ・プレイハウスでビバップの洗礼を受けます。1946年に、ドン・レッドマン楽団で渡欧した後、そのままパリに拠点を移します。ジャズメッセンジャ ーズの一員として来日経験があります。

1.「I Got Rhythm」
Don Byas (ts) , Slam Stewart (b)
Concert “Town Hall”, New York, June 9, 1945

タウンホールでの、ベースだけをバックにした歴史的な演奏です。

2.「I can’t Get Started」

Don Byas (ts), Fats Sadi (vib), Maurice Vander (p), Pierre Michelot (b), Benny Bennett (ds)
Paris, France, May 10, 1955

欧州では、たくさんの名演奏を残しています。

3. 「I Remember Clifford」
Don Byas (ts),Bud Powell(p) ,Pierre Michelot(b), Kenny Clarke(ds)
Paris, France, December 15, 1961

キャノンボール・アダレーが、プロデュースした名作。貴重なパウエルとの共演です。

4. 「All The Things You Are」
Don Byas (ts) Bent Axen (p) Niels-Henning Orsted Pedersen (b) William Schiopffe (d)
Live (!), Copenhagen, Denmark, January 13 & 14, 1963

ブラック・ライオンレーベルのワンホーンです。

Photo by Wikipedia

(2)ラッキー・トンプソン (1924~2005)
サウスカロライナ州出身、1943年にニューヨークに進出。カウントベイシー楽団に参加します。1946年のパーカーのダイアルセッションや、マイルスの「ウオーキン」、ミルト・ジャク ソンとのサヴォイ・セッションは有名。1956年に、パリに移住し、その後は、米国と行っ 来たりします。70年代にフュージョン系の作品を吹込みますが、やがて大学で指導するも音楽界から離れ、ホームレス生活やアルツハイマー病を患ったりします。全盛期は1950年代で、レスター ・ヤングとホーキンスのいい所を合わせたテナーだと思います。

1. 「I Can’t Give You Anything But Love」

Lucky Thompson (ts), Michel Hausser (vib), Martial Solal (p), Jean-Pierre Sasson (g), Pierre Michelot (b), Gerard Pochonet (ds)
Paris, France, March 24, 1956

2. 「Gone With The Wind」

Lucky Thompson (ts), Henri Renaud (p), Benoit Quersin (b), Roger Paraboschi (ds)
Paris, March 7, 1956

3. 「Where Or When」

Lucky Thompson (ts), Billy Taylor (p),Sidney Gross (g) ,Oscar Pettiford (b), Osie Johnson (ds)  New York, October, 1954

典型的な中間派の演奏です。

4. 「Blues’n’ Boogie」

Lucky Thompson (ts) ,Tete Montoliu (p), Eric Peter (b), Peer Wyboris (ds)
Barcelona, Spain, May 1 & 2, 1970

晩年の秀作だと思います。

Buddy Tate and Lester Young by Burt Goldblatt Collection

(3) バディー・テイト(1913~2001)
テキサス州出身、ハーシャル・エヴァンスが急逝した後、カウント・ペイシー楽団に1948年まで10年間在籍します。その後は、ハーレムのナイトクラブ「セレブリティ・クラブ」のホストバンドの仕事を1970年代初めまでつとめます。1960年代は少しかったるい吹込みもありましたが、1970年代から晩年まで、好調を持続して豪快なテナーを聴かせてくれました。

1.「One O’clock Jump」
Pat Jenkins (tp) Eli Robinson (tb) Ben Richardson (cl,as,bar) Buddy Tate (ts) Skip Hall (p) ,Carl “Flat Top” Wilson (b) Bobby Donaldson (d) Inez Washington (vcl)
New York, November 28, 1954

セレブリティ・クラブ・オーケストラで、お馴染みの曲です。

2.「I Surrender Dear」を選曲されましたが、音源の関係で「Body and soul」に差し替えさせて頂きます。

Buddy Tate (ts),Tete Montoliu (p), Bo Stief (b), Svend-Erik Norregaard (ds)
Live “La Fontaine”, Copenhagen, Denmark, September 24, 1975

デンマークのクラブでのワンホーン、後期の代表作。

3.「Jive At Five」

Doc Cheatham (tp), Vic Dickenson (tb), Buddy Tate (ts), Johnny Guarnieri (p),George Duvivier (b), Oliver Jackson (ds)  Antibes Jazz Festival, Antibes, France, July 23, 1975

中間派のオールスターズの演奏です。

4. 「Topsy」

Al Grey (tb), Buddy Tate (ts), Richard Wyands (p), Major Holley (b) Al Harewood (ds) N.J., April 28, 1984

僚友アル・グレイとの楽しい演奏です。

三人の共通項は、カウント・ベイシー楽団に所属していたこと。ヨーロッパで活躍したこと。スイ ング時代からモダンジャズにかけてのいわゆる「中間派」(ドン・バイアスは自分は違うぞと言うで しょうが)を代表する黒人のテナー奏者であること。今回、一括りで紹介するのは、時間的に無理がありましたが、楽しんでもらえれば幸いです。

僭越ながら、ブログ作成者から映像等を追加させて頂きます。

「Don Byas in Paris, 1946-54」(JazzWax記事から)

こちら ▶️

「Texas Tenors Part Two – Buddy Tate」(KTRU JAZZから)

こちら ▶️

Lucky ThompsonがBobby Jasparと共演した映像

 

大阪ジャズ同好会(2018年8月例会) 『私が選んだ隠れ名盤』①

August 16,2018

2018年8月12(日)に開催された大阪ジャズ同好会での参加者持ち寄り『私が選んだ隠れ名盤』を2回に分けてご紹介します。当日配付されたレジュメのコメントもお楽しみ下さい。

T村氏

1.『The Ralph Sharon Trio』ラルフ・シャロ ン(Ralph Sharon)(Bethlehem盤)
「You Stepped Out Of A Dream(夢から醒めて)」
トニー・ベネット(Tony Benett)の専属ビアニストに、とどまらない実力を発揮した快作。

Here is The Ralph Sharon Trio play “You Stepped Out Of A Dream”.
Ralph Sharon (p) Jay Cave (b) Christy Febbo (d) New York, 1956

You Stepped Out Of A Dream

2.『Nobody Knows You When You’re Down and Out』ハワード・マギー(Howard McGhee)(United Artists盤)
「Lonely Town」
麻薬禍から何回か復帰したハワード・マ ギーのワンホーン・アルバム。

Here is Howard McGhee Quartet play ”Lonely Town”.
Howard McGhee (tp) Phil Porter (org) Larry Ridley (b) Dave Bailey (d)
New York, late 1962

Lonely Town

3.『Gentleman of The Trombone』ヴィッ ク・ディッケンソン(Vic Dickenson)(Storyville盤)
「Just Too Late」
南仏で録音された、ディッケンソンのリラックスしたワンホーン・アルバム。ピアノに、往年の名人ジョニー・ガルニエリをむかえました。

Here is Vic Dickenson and His Band play “Just Too Late”.
Vic Dickenson (tb,vcl) ,Johnny Guarnieri (p) Bill Pemberton (b), Oliver Jackson (d) Antibes, France, July 25, 1975

Just Too Late

4.『Holiday in Braff』ルビー・ブラフ(Ruby Braff)(Bethlehem盤)
「When You’re Smiling」
ビリー・ホリデイに捧げるトリビュート作品。曲の途中のサックス・ユニゾンは、レスター・ヤングの有名なアドリブを再現しています。

Here is Ruby Braff And His Orchestra play “When You’re Smiling”.
Ruby Braff (tp) Hymie Schertzer (as) Al Klink, Bob Wilber, Boomie Richman (ts) Sol Schlinger (bar) Ellis Larkins (p) Mundell Lowe (g) or Art Ryerson (g) Walter Page (b) Bobby Donaldson (d) New York, March 17 & 18, 1955

When You’re Smiling

Y瀬氏

◆変わりダネの魅力
ブルーベックとMJQにハマり、執念深く音源を追う中でも、生来の新しい物好き、ゲテモノ趣味を交えていろいろ浮気しました。そんな昭和30 (1955) 年前後の変わりダネをお聴きください。名盤と言い切る自信は無いのですが、私にとっての”隠れヒーロー”による”隠れ名演”ではあります。


1.『 Pretty Just For You』ジミー・スミス(Jimmy Smith))(Blue Note盤)

今はない神戸・元町のヤマハで売れ残っていたLPを買い「ブクブク、ボコボコ」と鳴るオルガンジャズの楽しさに覚醒。それは片面2曲で各10分超の長尺なので、次に買ったこれを。

Here is Jimmy Smith Trio Plays ”East Of The Sun”.
Jimmy Smith (org) Eddie McFadden (g) Donald “Duck” Bailey (d)
New York, May 8, 1957

East of the sun

2.「The Things We Did Last Summer」ハービー・マン(Herbie Mann)(Bethlehem盤)

大阪・千林のレコード店で買った東芝レーベルEP(4曲)のうち表面の2曲目。後に全11曲の12インチLPで再発。ハービーがどんどん変な方向に走ったので追跡は断念。

Here is Herbie Mann Quartet play ”The Things We Did Last Summer”.
Herbie Mann (fl) Benny Weeks (g) Keith Hodgson (b) Lee Rockey (d)
New York, December, 1954

The Things We Did Last Summer

3.『Man Bites Harmonica』ツーツ・シールマンス(Toots Thielmans)(Riverside盤)
実は、ハマったのは彼が晩年になってから。フランスムードや、ラテン物を楽しみ、ジョージ・シェアリング5加入前の Jean 名義のこれにも行きつきました。2006年に大阪ビルボードへ聴きに行き、休み時間にCDを差し出すと上機嫌でサインをしてくれました。

Here is Toots Thielemans Quintet play ”Fundamental Frequency”.
Toots Thielemans (g,hca) Pepper Adams (bar) Kenny Drew (p) Wilbur Ware (b) Art Taylor (d) New York, December 30, 1957

Fundamental Frequency

大阪ジャズ同好会特集『ボビー・ハケット大全集』

May 01.2018

Photo by courtesy of Swing DJ Resources

ボビー・ハケット大全集(2017年6月5日) 解説 寺本 泰規氏(同好会世話人)

ボビー・ハケットというミュージシャンをはたして何人の人がご存知でしょうか。リーダーアルバムもそれほど多いわけでもないのに、印象的なプレイを我々に残してくれました。

今日はボビー・ハケットの業績を残された数々の演奏からたどり、あらためて彼のプレイに注目してもらえれば幸いです。

さて彼のファーストレコーディングは何かということですが、それは1937年3月24日にDick Robert san & His Orchの一員として吹き込まれたものです。しかし彼が注目されるようになったのは、ベニー グッドマン・カーネギー・ホール・コンサートでジャズの歴史をたどるメドレーの中で、ビックス ・バイダーベックの名演を再現したときの演奏からだと思います。まず最初にその演奏を聴いていただきましょう。

1.「I’m Coming Virginia」(2:15)(Jan 16,1938)
Soloist Bobby Hackett(cor) Allan Reuss(g)

ハケットはビックスに似ていると言われることもありますが、ビックスのアタック鋭いサウンドは なく、中音域を主体とした柔らかい音が特徴です。また、後で紹介するヴォーカルのバックで吹くオブリガードのうまさは彼ならではのもので正に絶品と言えるでしょう。

次はユービー・ブレイクの名曲を聴いていただきましょう。ここでは彼の特徴である中音域を生か したソロが聴かれます。
2.「Memories Of You」(3:18)(July, 12,1938)
Bud Freeman & His Gang
Bobby Hackett(cor) Pee Wee Russell(cl) Dave Matthews(as) Bud Freeman(ts) Eddie Condon(g) Jess Stacy(p) Artie Shapiro(b) Dave Tough(ds)

Photo by Discogs

ハケットは1941年7月から1942年9月までグレン・ミラー楽団に在団しますが、元々は欠員となってい たギター奏者として雇われます。しかしコルネット奏者としても印象的なソロを残しています。ここではその代表的なソロを聴いていただきます。

3.「A Strings Of Pearls」(3:47)(Nov 8,1941)
Glenn Miller & His Orchestra Soloist Bobby Hackett(cor) Jerry Gray(arr)

1946年まではリーダーセッションはあったものの、リーダーアルバムはありませんでした。 SP時代に吹き込んだ曲をLP時代(10inchs)になりまとめたのが次のアルバムで、初めてのリーダーアルバム だと思います。

4.「With A Song In My Heart」(2:39) (Feb 5,1946)
Bobby Hackett(cor) Hank D’Amico(cl) Bil Stegmeyer, Johnny Pepper(as) Wolfe Tannenbaum, Hank Ross(ts) Johnny Guarnieri(p) Carl Kress(g) Bob Haggart(b)Cozy Cole(ds) Bill Challis(arr, cond)

さて、彼が本領を発揮するのはワンホーン・クインテットの時だと思いますが、下記の演奏は正に彼のソフトでメロウなトーンとエレガンスに満ちたフレイズが堪能できるものとなっています。

5.「What A Difference A Day Made」(3:08)(Sep 13,1950)
Bobby Hackett(tp) Charlie Queener(p) Danny Perri(g) Bob Casey (b) Cliff Leeman(ds)

同じクインテットでもストリングが入るとより彼のプレイが浮かび上がるのですが、次の曲ではミ ユートプレイが日本人好みのいわゆる「泣き」が入ったものとなっています。リズムセクションにモダン派も加えたこのレコードは、キャピトル最初のリーダーアルバムとなっ ています。

6.「You Turned The Tables on Me」(2:27) (lay 11,1953)
Bobby Hackett(tp) Lou Stein(p) Billy Bauer(g) Arnord Fishkind(b) Denzil Best(ds) with strings

キャピトルに移籍後、ムードミュージックで有名なジャッキー・グリースン楽団でソロイストとし てフューチャーされたアルバムを7枚ほど作りますが、それぞれ50万枚以上売り上げてゴールドディスクとなっています。その中から1曲お送ります。
7.「Yesterdays」(3:06)(1954)
Jackie Gleason & His Orchestra featuring Bobby Hackett(tp)

彼はキャピトルレーベルにおいてグリースン楽団だけではなく、自己のグループを率いてコンボで のレコーディングを残していますが、その中からジャケットのデザインが秀逸な「Rendezvous」から 一曲選んでみました。この曲はカーク・ダグラス主演の映画「Young man with a horn」(邦題「情熱 の狂想曲」)でドリス・ディが唄う場面が印象的でした。

8.「The Very Thought Of You」(2:35)(1956)
Bobby Hackett(tp) with Orchestra conducted by Glenn Osser

今度はライブ演奏を聴いていただきましょう。シャンソンの名曲でジャズでも取り上げられること の多い「枯葉」です。メンバーがモダンジャズメン3名、スイング時代からのベテラン2名の合わせて 5名が何の違和感もなく、一緒にプレイしているところがジャズのすごいところだと思います。
9.「Autumn Leaves」(6:34) Jan 31,191)
Dizzy Gillespie(tp) Bobby Hackett(tp) Mary Lou Williams(p) George Duvivier(b) Grady Tate(ds)

ハケットは唄伴でもその能力を最大限に発揮します。オブリガードのうまさは他のミュージシャン と比べても特筆すべきものがありますが、特にリー・ワイリーとは1950年12月に吹き込んだ名盤「Night In Manhattan」でも既に共演しており、実に22年ぶりの共演となりました。

10.「Moon River」(3:15) (June 5,1972)
Lee Wiley(vo) Bobby Hackett(cor) Teddy Wilson(p) Bucky Pizzarelli(g) George Duvivier (b) Don Lamond(ds)

続いてはテレサ・ブリュワーの唄に伴奏した時のものです。そのうち2曲目の「I’ve Got A Crush On You」は先ほどの「Night In Manhattan」でもワイリーと共演しており、興味のある人は比べてみるのも一興かと思います。
11.「If I Had To You~I’ve Got A Crush On You」(4:49)(1973)
Teresa Brewer(vo) Bobby Hackett(tp) Hank Jones(p) Art Ryerson(g) Richard Davis(b) Ted Sommer(ds) Johnny Mince, Hank Freeman, George Berg, Toots Mondello(sax) James Maxwell, Nax Kaminsky, Mel Davis(tp) Warren Covington, Vic Dickenson, Urbie Green(tb)

先ほどのガレスピーとの共演と同じように、今度はモダンジャズの巨人ズート・シムズとの共演で す。それ以外のメンバーもモダンジャズメンで固められており、彼が如何に柔軟性のとんだプレイヤ ーであるかということを如実に示しています。モダンジャズメンの中にあっても彼の個性は決して理没することなく、しっかりと自己主張しており、彼らと対等に渡り合っています。
12. 「These Foolish Things」(5:50)(Aug. 3,1974)
Bobby Hackett(tp) Zoot Sims(ss) Hank Jones(p) Bucky Pizzarelli(g) Richard Davis(b) Mel Lewis (ds) Glenn Osser(arr)

この特集の締めくくりとして、多分彼のラストレコーディングと思われるアルバムから1曲お送りします。このアルバムは映画、ジャズ・クラシックびスタンダードから選曲されたきわめて彼らしいアルバム作りとなっています。その中から彼の得意とするディキシースタイルで「Tin Roof Blues」 を聴いてください。
13. 「Tin Roof Blues」(3:46)(1976)
Bobby Hackett(tp) Dave McKenna(p) Bob Daugherty(b) Ron Lundberg(ds)

皆さんいかがだったでしょうか。彼が如何に融通性に富み、リーダーアルバムにおいても、他の楽 団のソロイストにおいても、唄伴においても一流の演奏者であることがおわかりになったと思います。 これを機会にもっとハケットの演奏に興味を持っていただけたら幸いです。

[補足]Bobby Hackettの公式ファンクラブがFacebookで公開されています。

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