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大阪ジャズ同好会第39回(2019年10月13日)「日本盤ヴィンテージ・シリーズの魅力」②

October18,2019

特集「日本盤ヴィンテージ・シリーズ」の2回目です。今回も油井正一氏による解説文(一部抜粋)を添付します。(当日補足資料として配付しました)

1.「グランド・テラス・バンド/アール・ハインズ」
Here is Earl Hines And His Orchestra play ”G. T. Stomp”.
Earl Hines And His Orchestra:Walter Fuller (tp,vcl) Milton Fletcher, Ed Sims (tp) George Dixon (tp,as,bar) Ed Burke, John Ewing, Joe McLewis (tb) Omer Simeon (cl,as) Leroy Harris (as) Budd Johnson (as,ts,arr) Robert Crowder (ts) Earl Hines (p) Claude Roberts (g) Quinn Wilson (b,arr) Alvin Burroughs (ds) Horace Henderson, Jimmy Mundy, Skippy Williams (arr) NYC, July 12, 1939

1928年シカゴのクラブ「グランド・テラス」で旗挙げされ、以後19年にわたって彼がひきいていたすばらしいビッグ・バンドの演奏だ。
1928年末―正確にはハインズの誕生日にあたる12月28日 に、シカゴのサウス・サイドに開店した「グランド・テラス」 は中央にダンス・フロアー、周囲にテーブル、入口の反対側にはるかはなれてバンド・スタンドが配置され、フロアー・ショウもよび物のひとつになっていた。このクラブの主たる株主は、夜の大統領アル・カポネが所有していたといわれる。1929年はシカゴ・ギャングの跳梁が絶頂に達した年で、「聖ヴ アレンタイン・デイの虐殺」が行われた年でもあった。ハインズのバンドはこのクラブを牙城とし、幾多の俊英を世に送りだしたが、このアルバムに収録されているのは、ス イング時代の絶頂期、1939年7月から40年6月にかけての一 年間に吹きこまれた名演16曲である。

2.「ボディ・アンド・ソウル/コールマン・ホーキンス」
Here is is Coleman Hawkins plays ”Body and Soul”.
Tommy Lindsay, Joe Guy (tp) Earl Hardy (tb) Jackie Fields, Eustis Moore (as) Coleman Hawkins (ts,arr) Gene Rodgers (p,arr) Oscar Smith (b) Arthur Herbert (ds) Thelma Carpenter (vcl) Hazel Scott (arr) NYC, October 11, 1939

ジャズの歴史上最も有名なレコーディングのひとつである。しかしホーキンス自身はこのレコードの伝説的なヒットに首をかしげ、「私はいつもこのように吹いていた。どうしてこのレコードだけが圧倒的にうけたのかがわからない」といっている。ヨーロッパに渡って5年間をすごしたホーキンスの帰国第一作であり、ヨーロッパでのレコーディングはアメリカでも発売されていたというが、つねに「オーバーなほどセンチでテクニック過剰だ」としてミュージシャンと批評家から過少評価をうけていたーときくと、このレコードがうけた原因も解明できそうだ。しかし立派な作品であることにはかわりない。

3.「ジャズの巨人/シドニー・べシェ」
Here is Sidney Bechet and his New Orleans Feetwarmers play ”Egyptian Fantasy”.
Sidney Bechet and his New Orleans Feetwarmers:Henry Allen(tp) J.C. Higginbotham(tb) Sidney Bechet(cl) James Tolliver(p) Wellman Braud(b) J.C. Heard(ds) New York, January 8, 1941

シド ニー・ベシェは、ジャズ・クラリネットおよびソプラノサックスの大巨星であった。彼の全盛期のレコードは、比較的知られていない。(中略)… ここにはじめてビクターに残された、彼の中期の傑作16曲が公開された。これらを聴いて、シドニー・べシェがジャズ界に残した偉大な功績を再認識されるファンも多いだろうし、またそうあってほしいものである。その力強さ、その創造力、そして絢爛たる表現力は、彼の偉大さを証明するものでなくして、何であろうか?

番組のバージョンとは異なります。

4.「エスクァイアー・オール・アメリカン・ホット・ジャズ」
Here is Leonard Feather’s Esquire All Americans play ”Long, Long Journey”.
Leonard Feather’s Esquire All Americans:(by the 1946 Esquire Hot Jazz Award Winners)
Louis Armstrong (tp,vcl) Charlie Shavers (tp) Jimmy Hamilton (cl) Johnny Hodges (as) Don Byas (ts) Duke Ellington, Billy Strayhorn (p) Remo Palmieri (g) Chubby Jackson (b) Sonny Greer (ds) New York, January 10, 1946

「プレイボーイ」誌に圧倒された観があるが、「エス クァイアー」は1930年代以降最もよく読まれた男性向き月刊 誌であった。 当時の編集長(現在は発行人)アーノルド・キングリッチは陽のあたらぬ芸術だったジャズをこの雑誌にとりあげた先覚者で、1944年に評論家レナード・フェザーをジャズ部門の専任記者に委嘱すると共に、人気投票をやるための専問委員会を設けた。(読者投票ではなかった) 年鑑を出すとともに、人気投票の首位を集めて毎年1月にニューヨークのメトロポリタン・オペラハウスやロスアンジェルス、さらにはニ ューオリンズで、「オールスター・コンサート」を開催した。各楽器の首位が「金賞」、第二位が「銀賞」を与えられ、 45年からは「新人賞」(銅賞)も設けられ、1947年末で終ったが一流雑誌がこのように力を入れたことが、ジャズの発展に与えた影響は実に大きかった。

30センチのSP盤ですが、転勤時の引っ越しで割れてしまいました。

(デューク・エリントンのアナウンスが翻訳されています)
「皆さん、デューク・エリントンです。 レナード・フェザーやすばらしいオール・スター・オーケストラとご一緒できて嬉しく思います。この1曲には私も加わって、ルイ・アーム ストロングが歌います。さあはじめよう。レナード。」 レナード・フェザー作のブルース。 ソロイストは、アームストロング(トランペット) → ホッ ジス→アームストロング(ヴォーカル)→エリントン (ピア ノ) →アームストロング(ヴォーカル)。

5.「巨星(Dizzy Gillespie)」
Here is Dizzy Gillespie Band play ”52nd Street Theme”.
Dizzy Gillespie(tp) Don Byas(ts) Milt Jackson(vib) Al Haig(p) Bill DeArango(el-g) Ray Brown(b) J.C. Heard(ds) New York, February 22, 1946

LP 初期に「52番街のジャズ」として発売されたことがあるが、(中略)…レイ・ブラウンの弓弾き部分が面白い。ミルト・ジャクソンとしては最も初期の録音に属する。ヴァイブの音があまりよくないのは、当時ボロボロのヴァイブを引いていたからであろう。

Photo by britannica.com

6.「ビ・バップ・エラ/モダン・ジャズの夜明け」
Here is Kenny Clarke And His 52nd Street Boys play “Royal Roost”.
Kenny Clarke And His 52nd Street Boys: McKinlay Dorham (Kenny Dorham), Fats Navarro (tp), Sonny Stitt (as), Ray Abrams (ts), Eddie DeVerteuil (bs), Bud Powell (p), John Collins (g), Al Hall (b), Kenny Clarke (ds), Gil Fuller (arr) New York, September 5, 1946

(中略)編曲はガレスピー楽団の諸作で定評のあるギル・フラーが担当した。だから変則的な編成で、ビッグバンド的なサウンドをもつ部分もある。 バド・パウエル、ソニー・スティットの好プレイと共に、2人のトランぺ ット奏者が印象に残る。どのソロが誰かは皆さんの判断にまつしかないが、「ロイヤル・ルースト」はワン・コーラス毎にドーハム・ナヴァ 口がソロを交換してい るようにきこえる。それが二回づつあり、この個所の トランペットは四コーラス (1コーラス 12小節の ブルース)である。

Photo by Wikipedia

Here is is Metronome All-Star Bands play “Victory Ball”.
Metronome All-Star Bands:Miles Davis, Dizzy Gillespie, Fats Navarro(tp) J.J.Johnson, Kai Winding (tb) Buddy DeFranco(cl) Charlie Parker(as) Charlie Ventura(ts) Ernie Caceres(bs) Lennie Tristano(p) Billy Bauer(g) Eddie Safranski(b) Shelly Manne(ds) RCA Studios, NYC, January 3, 1949

「ヴィクトリー・ボール」はテーマのあとアルト(パーカー)。そのあとを16小節づつ、マイルス?→デフランコ→ウィンディング?→ ヴェンチュラ → J.J.→ナヴァロ?と続く。ピアノだけが一コーラスのソロをとり、以下キャセレス→ガレスピー? と続いて、ラストのアンサンブルに入リ、そのブリッジをデフランコがとる。この曲は「ス・ワンダフル」のコードにレニ ー・トリスターノが書いたもの。ビリー・バウァー(ギター) はソロこそとらないが、すばらしいアンサンプル、ワークをきかせている。

大阪ジャズ同好会第39回(2019年10月13日)「日本盤ヴィンテージ・シリーズの魅力」①

October 17,2019
担当 平野隆史

ビクターレコードはコロムビアレコードと並んでアメリカの二大レコード会社です。ジャズ史上に残る名演が「ヴィンテージ・シリーズ」に収録されています。1975年、日本ビクターがLP100枚からなる「RCAジャズ栄光の遺産シリーズ」というシリーズを販売しましたが貧乏学生にとって全100枚の購入は諦めざるを得ない状況でした。そんな時中古レコード店で「日本盤ヴィンテージ・シリーズ」の存在を知りました。ジャズの知識が乏しい小生には油井正一氏による詳細な解説は大変役に立ちました。(現在では「講釈師見て来たような…」と思われる表現もありますが!)
今回は録音年月日順に14枚(15曲)を解説文(一部抜粋)と共にご紹介させていただきます。尚、本ブログでは特集(1時間)を2回に分けて投稿致します。

1.「ジャック・ティーガーデン(Jack Teagarden)」
Here is Jack Teagarden with Roger Wolfe Kahn And His Orchestra play “She’s A Great, Great Girl”.
Roger Wolfe Kahn And His Orchestra:Jack Teagarden (tb) A Arthur Schutt (p) Eddie Lang (g)Roger Wolfe Kahn (dir) (他)New York, March 14, 1928

ジャック・ティーガーデン(1905-1964)はジャズ史上最初に現われた偉大なトロンボーン奏者であった。白人でありながらブルースの真髄を会得していた。彼の歌は彼のトロンボーン・スタイルとそっくりであった。ルイ・アームストロングとジャック・ティーガー デンによって、ジャズ・ヴォーカルの最高のものは器楽奏者によ って生みだされることが立証された。彼の歌とトロンボーンは、最初の数音をきいただけで「ジャックTだ!」とわかる個性をもっていた。その点ではアームストロ ング、ジョニー・ホッジス、ビックス・バイダーベックに比肩する強い個性をもっていた。J.J.ジョンソンが現われるまでティーガーデンはジャズ・トロ ンボーン界のアイドルであった。そのJ.J.でさえいっている。「真の巨人はジャック・ティーガーデンであった」と。

2.「ヴァレンタイン・ストンプ/ファッツ・ウォーラー」
Here isFats Waller plays “Valentine Stomp”.
Fats Waller(p-solo) Camden, N.J. August 2, 1929

40年ちかくまえの録音とは思えない卓抜な録音で、フ ァッツ・フォーラーの至芸がきかれる。ジェームス・P・ジョンソンを開拓者とする「ハーレム・ピアノ・スタイル」の伝統をうけついだ傑作であろう。これは音楽的にファッツ・ウォーラーのエッセンスといえる作品である。

Bennie Moten and His Orchestra (Count Basieが左端に座っています),Photo by Library.umkc.edu

3.「カンサス・シティのカウント・ベイシー」
Here is Bennie Moten and His Orchestra plat “Small black”.
Bennie Moten and His Orchestra:Ed Lewis, Booker Washington (cnt) Thamon Hayes (tb) Eddie Durham (v-tb,g,arr) Harlan Leonard (cl,sop,as) Jack Washington (cl,as,bar) Woody Walder (cl,ts) Count Basie (p,vcl) Ira “Buster” Moten (p,accor) Leroy “Buster” Berry (bj) Vernon Page (tu) Willie McWashington (ds) Bennie Moten (dir) Chicago, October 23, 1929

原盤解説の書き出しは、マーチン・ウィリアムスによって 次のように書き起こされてる。
1932年12月中旬、大不況のさなか、ベニー・モーテン楽団のメンバーが、ニュージャーシー州キャムデンのビクター吹込所にやってきた。(中略)ベニー・モーテン楽団のメンバーは皆空腹をかかえ、沈み切っていた。リード奏者エディ・ベアーフィールドはこの時の模様を次のように語っている。
「誰もが一文も金は持っていなかった。アーチーという小男が準備してくれた兎肉シチューと四切れのパンのおかげで、ともかく餓死はまぬがれ、吹きこみをすませた。(中略)吹きこみが終ると、すぐカンサスに帰った。」この日、バンドメンたちがそんな苦境にあったようなことを示す痕跡は全くみられない。 素晴らしい音楽。シンから楽しげな演奏。 だが1932年にこうした演奏に耳を傾ける人はほとんどいなかった。アメリカ全体が大不況の嵐に包まれ、ホット演奏は見向きもされなくなっていたのだった。

4.「キング・オリバー・イン・ニューヨーク」
Here is King Oliver and His Orchestra play “St,James Infirmary”.
King Oliver, Henry “Red” Allen, Bubber Miley (tp) Jimmy Archey (tb) Bobby Holmes (cl) Glyn Paque (cl,as) unknown (cl,as) Walter Wheeler (cl,ts) Don Frye (p) Arthur Taylor (bj) Jean Stultz (g) Clinton Walker (tu) unknown (chimes-1) Carroll Dickerson (dir,vln-2) Frank Marvin (vcl) New York, January 28, 1930


三年ほどまえ、浅草の天ぷら屋でドイツの評論家ベーレント氏と「いったいジャズ史上最も早くグルーブ表現を心掛けたリーダーは誰だろう?」といいあったことを思い出す。(中略)
そこでぼくがいった。「ぼくはキング・オリバーだと思う」
「そうかも知れんがあまりにもブリミティヴすぎる」と彼は答 えた。 ぼくは何故オリバーと思うかを説明した。 ニューオリーンズにいた頃既にオリバーは最高のトランペット奏者であり、ジャズ王とよばれたフレディ・ケバードを吹き負かして王座についた男である。その話を聞くとオリバーはケバード以上にふてぶてしいトランペット吹きにきこえるがそうではない。 彼が残したどのレコードをきいても彼のラッパだけが他の一切を支配しているようなものはなく、つねに抑制と調和を保ちアレンジの中にとけこんでいる。こういう考え方こそグルーブ表現の基本であり、それ故にばくはオリバーを買うんだ………というところでこの話題は終り天ぷらをパクついたわけである。

5.「ストンプ・アンド・ジョイ/ジェリー・ロール・モートン」
Here is Jelly-Roll Morton and his Red Hot Peppers play “Little Lawrence”.
Jelly-Roll Morton and his Red Hot PeppersJelly-Roll Morton(p,dir) Bubber Miley, Ward Pinkett(tp) Wilbur de Paris(tb) Lorenzo Tio Jr.(cl) Bernard Addison(g) unknown(bj) Bill Benford(tu) Tommy Benford(ds) New York, March 19, 1930


ジェリー・ロール・モートンは(1885-1941)、ジャズの発生期に現われた名ピアニストであり、作曲家であり、偉大なコンボ・リーダーであります。彼はビクター・レコードに不滅の傑作を残しましたが、(1) コンボ・リーダーとしては、デューク・エリントンに比すべき 「グループ表現」に徹し、 (2) ピアニストとしては、後年のジョン・ルイスに比すべき「ヨーロッパ的形式」と「ジャズ」との本能的な結合感をもち、 (3) 作曲家としては、ラグタイムやブルースの比類ない音楽形式を、その全作品に盛りこんだのでありました。 この知的で、華麗で、感動的な音楽がどんな基盤から発生したものかを、ご説明しておきたいと思います。

6.「30年代のでデューク・エリントン」
Here is Duke Ellington and His Orchestra play “Echoes of the Jungle”.
Duke Ellington and His Orchestra(The Jungle Band):Freddy Jenkins, Arthur Whetsol, Cootie Williams (tp) Joe Nanton, Juan Tizol (tb) Barney Bigard (cl,ts) Johnny Hodges (as,sop) Harry Carney (bar,cl,as) Duke Ellington (p) Fred Guy (bj) Wellman Braud (b) Sonny Greer (ds) New York, June 16,1931


ニューオリンズに始まり、シカゴに北上したジャズは、小編成ジャズである。ところがエリントンやヘンダーソンは、ニューヨ ークという大都会の、規模の大きい職場で、10人以上の大編成によるジャズを演奏せねばならなかった。たしかに、ソロの部分をはじめ、至るところに、ニューオリンズ・ジャズの影響はある。 しかし、編曲を必要としない小編成と、オーケストレーションを必要とする大編成ジャズとは、根本理念がちがうのである。(中略)
デューク・エリントン自身が語る、「ぼくの楽器はピアノではなく、わがオーケストラなのだ」という言葉の意味がわかってくる。 キング・オリヴァーやルイ・アームストロングがトランペットで、ジョニー・ドッズやジミー・ヌーンがクラリネットという楽器で創造したものを、デューク・エリントンは、10数人を擁する彼のオーケストラで創造したのである。
要約すれば、デューク・エリントンは新しい音楽形式の創造者 であり、その第1人者としての地位を40年にわたって保ち続けている偉大な存在なのである。

Helen Ward 1916-1998 And Benny Goodman Photograph by Everett

7.「ベニー・グッドマン/スモール・グループ」
Here is Benny Goodman Trio with Helen Ward play “All my life”.
Benny Goodman (cl) Teddy Wilson (p) Gene Krupa(ds) Helen Ward (vcl)
Chicago, April 24, 1936


文字通り、スイング時代の絶頂期をうつしだしたグッドマン・コンボ の傑作集である。
昭和10年にふとしたキッカケで、ジャズを熱愛しだした私にとって、これらの1曲1曲には、いいつくせぬ思い出がある。現在50才前後のオ ールド・ファンにとっても、思いは同じことであろう。当時のビクター・レコードは、SPながら音質のいいシェラック盤で あった。ところが戦争が近づくにつれ、材質は悪化し、このアルバムで いえば、《張り切りおやじ》あたりからは、ザラザラと針音のする盤を買わされることになった。SP盤のレーベルわきには(特)とか(T)とかいう 刻印が打たれ、そのシルシのあるものは皆かなりゆがんだ音にプレスされたことを思い出す。《君に泣く》に至っては、ジョン・カービーのベ ースが、ほとんどきこえなかった。
今あらためて、最高技術で復元されたこのアルバムに接すると、30年あまり前の1曲1曲についての思い出が、昨日のことのように脳裡によ みがえってくる。この16曲は戦前に1曲のこらず日本盤のSPで出たが、その大半は今回はじめてLP化されたものである。

Photo above of Mezz Mezzrow, James P. Johnson, Hughes Panassie, Tommy Ladnier at the Victor studios by courtesy of TEDDY BUNN(JAZZ LIVES)

8.「パナシェ・セッション」

Here is Weary Tommy Ladnier plays ”Weary Blues”.
Tommy Ladnier, Sidney DeParis (tp) Mezz Mezzrow (cl) James P. Johnson (p) Teddy Bunn (g) Elmer James (b) Zutty Singleton (ds) New York, November 21, 1938


ユーグ・パナシェ(製作者)による「レコーディングの思い出」(中略)
1938年10月私は数枚のレコーディングを企画してニューヨーク に赴いた。私が企画したのはニューオリンズ・スタイルのジャズだった。」(中略)ジャズ史学者の中には、1938年頃にはもはやニューオリンズ・ ジャズは骨董品になっていたという人がいる。だがこれは大間違で、今世紀のはじめ頃生まれた偉大なミュージシャンたちは、まだ40才にもなっていなかったのである。彼らは皆音楽的にも健在だった。ただ色んなバンドに散ってニューオリンズとは関係のないジャズをやっていたのである。
ニューオリンズ・ジャズの花形は何といってもトランペット奏者だ。トランペットの安定した力強いアンサンブル・リードなくしては、典型的なニューオリンズのフロント・ラインが出来あがらない。トランペット奏者の選択こそまっさきに手をつけるべきこととは思っていたが、意外にむずかしいことがわかってきた。偉大なルイ・アームストロングは勿論最適任者だが、専属会社がちがっていた。もう一人の偉大なニューオリンズ・スタイル・プレイアーはトミー・ラドニアだが、誰に聞いても居所がわからない。ある者はとうの昔に故人になったといい、ある者は精神病院に収容されているという。(中略)
ニューヨークに着いた直後の一週間、私はトミーの所在をたずねまわったが、とうとうみつけだすことができなかった。 他のメンバーはすぐ揃った。 しかしどうしても手がかりがない侭数日が過ぎた。トミー・ラ ドニアを入れずにレコーディングするのでは出来栄えが半減してしまう、ということが目に見えていたので私は録音を延期した。ある晩メズロウが、ハーレム中をトミーを探して歩いてみようと提案した。夜中に探索がはじまった。7番街の端から端まで、ハーレム中 に知己をもつメズロウは店をのぞきこんで「トミー・ラドニアが何処にいるか知っている人はいないかい?」とたずね歩いた。約一時間ほど経った時、玉突き屋から出てきた男がメズロウのそばにくると「トミー・ラドニアの居所を知ってるよ。この手紙を出しにゆくところだ」といって一通の手紙を差しだした。私はその手紙に数年前パリで会ったことのあるパナシェだが是非会いに来てくれないか? とつけたした。トミーはニューヨークからほど遠からぬニューバーグに住んでいた。 3日後トミー・ラドニアはメズ・メズロウの家を訪ねてきた。 ニューヨークの喧騒にたえかねて数年前に小都会に移住し、トリオをひきい、トランペットの個人指導をしながら平穏な生活を送っていたのだそうだ。
発狂説もあったし、精神病院へ入れられているという説もあっ たよ、というと彼は答えた。
「発狂? なるほどそうかもしれない。だけどまだ精神病院には 入れられてませんでしたな」
彼は吹きこみの話に大いに乗り気であった。11月21日、上記の メンバーで2曲が吹きこまれた。《さあはじめよう》と《レヴォ リューショナリー・ブルース》である。

(使用音源)
1.Jack Teadarden(VRA-5019)
2.Fats Waller/Valentine Stomp(VRA-5020)
3.Count Basie/Count Basie n Kansas City(VRA-5008)
4.King Oliver/King Oliver in New York(VRA-5016)
5.Jerry Roll Morton/Stomp and Joys(VRA-5006)
6.Duke Ellington/Daybreak Express(VRA-5002)
7.Benny Goodman/The Small Groups(VRA-5026)
8.The Panassie sessions(VRA-5015)

以上

大阪ジャズ同好会(2018年8月例会)スイング時代の3大セッション②

August 19,2018

前回に続き「ブラインドフォールドテスト形式での聴き比べ」にお付き合い下さい。

今回は第4ラウンドからスタートとなります。

10.Hot Mallets

11.Mean To Me

12.Prisoner Of Love

 

13.Dinah

14.When You’re Smiling

15.Begin The Beguine

 

Photo by courtesy of Jazzinphoto – WordPress.com Benny Goodman’s Band in the Manhattan Room at the Pennsylvania Hotel 1937

16.Ghost Of A Chance

17.A-Tisket,A-Tasket

18.I’m Nobody’s Baby

 

大阪ジャズ同好会(2018年8月例会)スイング時代の3大セッション①

August 18,2018

 

スイング時代の3大セッションをブラインドフォールドテスト形式で聴き比べしました。

全18曲(1~6ラウンド)がご紹介されました。本日は前半の9曲(1~3ラウンド)をお楽しみ下さい。

1.On the Sunnyside Of The Street

 

2.Mary Had A Little Lamb

 

3.Harlem Lullaby

 

4.Ring Dem Bells

 

5.Here’s Love In Your Eyes

 

6.For Sentimental Reasons

7.Shufflin’At The Hollywood

 

8.Right Or Wrong

 

9.Lover Come Back To Me

大阪ジャズ同好会特集『1940年代のジャズ』(2016年12月例会)

August 06,2018

「1940年代のジャズ」2016年12月例会

解説 野瀬惟清氏

野瀬さん(神戸ジャズ愛好会のベテラン会員)が1940年代の名演を解説された特集(2016年12月例会)をブログに纏めました

尚、当日配付されたレジュメの録音年月日と異なった記載は、ブログ作成者が所有しているレコード並びにディスコグラフィー等に照らし合わせ修正したものです。

 Here is Johnny Hodges & Orchestra play “Squaty Roo”.
Johnny Hodges(as) Ray Nance(tp) Lawrence Brown(tb) Harry Carney(bs) Duke Ellington(p) Jimmy Blanton(b) Sonny Greer(ds)
Hollywood,July 3,1941

Here is Johnny Hodges & His Orchestra play “Day dream”.
Johnny Hodges(as)Cootie Williams (tp) Lawrence Brown (tb) Harry Carney (bar) Duke Ellington (p) Jimmy Blanton (b) Sonny Greer (ds)
Chicago, November 2, 1940
Day dream

Here is Rex Stewart & His Orchestra play “Linger While”.
Rex Stewart(tp) Lawrence Brown(tb) Ben Webster(ts) Harry Carney(bs) Billy Strayhorn(p) Jimmy Blanton(b) Sonny Greer(ds)
Chicago,November 2, 1940
Linger Awhile

Here is Rex Stewart & His Orchestra play “Mobile Bay”.
Rex Stewart(tp) Lawrence Brown(tb) Ben Webster(ts) Harry Carney(bs) Duke Ellington(p)Jimmy Blanton(b) Sonny Greer(ds)
Chicago,November 2, 1940
Mobile Bay

Here is Edmond Hall’s Celeste Quartet play “Jammin’ In Four”.
Edmond Hall(cl) Charlie Christian(g) Meade Lux Lewis(celeste) Israel Crosby(b)
NYC,February.5,1941

Here is Edmond Hall’s Celeste Quartet play “Profoundly Blue”.
Edmond Hall(cl) Charlie Christian(g) Meade Lux Lewis(celeste) Israel Crosby(b)
NYC,February.5,1941

Here is The Capitol Jazzmen play “Clambake in B Flat”.
Billy May(tp) Jack Teagarden(tb) Jimmie Noone(cl) Dave Matthews(ts) Joe Sullivan(p) Dave Barbour(g) Art Shapiro(b) Zutty Singleton(ds)
Los Angeles, November 16, 1943

Here is The Capitol Jazzmen play “Casanovas Lament “.
Jack Teagarden(tb,vo)Billy May(tp) Jimmie Noone(cl) Dave Matthews(ts) Joe Sullivan(p) Dave Barbour(g) Art Shapiro(b) Zutty Singleton(ds)
Los Angeles, November 16, 1943

Here is The Capitol Jazzmen with Peggy Lee play “That Old Feeling”.
Shorty Sherock(tp) Barney Bigard(cl) Les Robinson(as) Eddie Miller(ts) Stan Wrightman(p & celeste) Nappy Lamare(g) Hank Wayland(b) Nick Fatool(ds) Peggy Lee(vo)
LA,January 7, 1944
That Old Feeling

Photo above of Peggy Lee and Capitol Jazzmen by courtesy of UMKC Digital Special Collections

Here is Capitol International Jazzmen play “You Can Depend On Me”. 
Benny Carter(as) Coleman Hawkins(ts) Bill Coleman (2)(tp) Buster Bailey(cl) Nat King Cole(p) Oscar Moore(g) John Kirby(b) Max Roach(ds)
LA, March 30, 1945
You Can Depend On Me

神戸ジャズ愛好会(2018年3月)「魅惑のアルトサックス」(1)

March 26.2018

Yesterday, I went to the jazz regular meeting in Kobe.

I heard many recordings by alto saxophone players.

I would like to post a summary of the meeting.

昨日、神戸ジャズ愛好会に参加しました。例会の概要を2回に分けて記載させて頂きます。

特集のテーマ「魅惑のアルトサックス」

以下、当日の選曲一部と印象的なコメントを記載致します。

・Tさん(トラッド愛好家)
スウィング期の3大アルト奏者 Johnny Hodges, Benny Carter, Willie Smith

JPシリーズ(上記)は西宮のタイヘイ・レコードから「グランツ・レコード」として発売されました。残念ながら購入したSPは行方不明になったそうです。

 

Here is Charlie Parker Quintet play “My Melancholy Baby”.(JP-1015)
Dizzy Gillespie(tp); Charlie Parker(as); Thelonious Monk(p); Curly Russell(b); Buddy Rich(ds). NYC. June 6,1950

Capt. John Handy(キャプテン・ジョン・ハンディ)
モダンの「John Handy」と混同される人が多いので注意して下さいと私の方を見てコメントされました。

Here is John Handy And His New Orleans Stompers play “Hindustan”.
Kid Thomas (tp) Jim Robinson (tb) Sammy Rimington (cl) Capt. John Handy (as) Bill Sinclair (p) Dick Griffith (bj) “Mouldy” Dick McCarthy (b) Sammy Penn (d) Live “Motor Inn”, West Haven, CT, December 6, 1965

・Y瀬さん(大阪ジャズ同好会にも参加されています)
Paul Desmond(ポール・デスモンド)
「ブルーベックの『ガンガン・ピアノ』に辟易していたのか、親分への忠誠を示すためか、グループを離れた時はピアノレスに徹した。」(唯一の例外はMJQとの共演)

Here is Dave Brubeck Quartet play “Georgia on my mind”.
Paul Desmond (as) Dave Brubeck (p) Eugene Wright (b) Joe Morello (d) April 22, 1959

Here is Paul Desmond Quartet play “East of the sun”.
Paul Desmond (as) Jim Hall (g) Percy Heath (b) Connie Kay (d)
New York, September 5, 6 & 7, 1959

・Mさん(神戸ジャズサロン主宰者)
Sonny Criss(ソニー・クリス)
1977年の日本公演直前の自殺について「ジャズメン死亡診断書(小川隆夫著)」を引用しながらコメントされました。寺本氏は公演チケットを購入していたそうです。

Here is Sonny Criss Quintet play “Easy to Love”.
Sonny Criss (as) Larry Bunker (vib) Sonny Clark (p) Buddy Clark(b), Lawrence Marable(d).Los Angeles, CA, October 3, 1956

Here is Sonny Criss Quintet play “In The Still Of The Night”.
Members of the recording are the same as above.

・寺本氏(神戸ジャズ愛好会世話人)
Art Pepper,Julian”Cannonball Adderley”,Eddy House(初めて聞く名前です)
Art Pepper(アルトが白人でピアノが黒人)
誰も事前にリストアップしなかったので選択されました。Carl Perkins(カール・パーキンス)の演奏が素晴らしいです。

Here is Art Pepper Quartet play “Summertime”
Art Pepper (as) Carl Perkins (p) Ben Tucker (b) Chuck Flores (d) Hollywood, CA, April 1, 1957

C.Adderley(アルトが黒人でピアノが白人)

Here is Cannonball Adderley With Bill Evans play “Waltz for Debby”.
Cannonball Adderley (as) Bill Evans (p) Percy Heath (b) Connie Kay (d) New York, March 13, 1961

Bethlehem Recording Session by Duke Ellington

March 1.2018

Photo above of Russell Procope by courtesy of Ellington on the Web

Last Sunday Mr.Nishi introduced “Duke Ellington presents(Bethlehem records)” in the meeting of Kobe Jazz Salon(神戸ジャズサロン).

先日の「神戸ジャズサロン」の番外編でDuke Ellingtonが紹介されました。

ベテラン会員のNさんがRussell Procope(ラッセル・プロコープ)の名演を聞いて下さいと「Indian Summer」を選曲されました。

他の会員の方から「ベツレヘムのエリントンは珍しいな」との声が聞こえてきました。自宅に帰ってからこのレコードを聞きながらディスコグラフィーを確認しました。

1956年初頭、契約の関係と推測しますがベツレヘムレコードにLP2枚分(計23曲)の録音を行なっています。(1956年2月7日〜8日 シカゴ)
Bethlehem  BCP-60    12曲
Bethlehem  BCP-6005   11曲

この時期エリントンオーケストラには一時脱退していたジョニー・ホッジスが復帰し、大手のコロンビアレコードと再契約しています。そして大物歌手ローズマリー・クルーニーと共演した作品を発表しました。

私は同時期に語られている「プレステッッジレコードのボブ・ワインストック社長とマイルス・ディビスとの確執」を想像しました。

Here is Duke Ellington And His Orchestra play “Indian summer”.
Willie Cook, Cat Anderson(t); Clark Terry(t,fl); Ray Nance(t,vl,v); Britt Woodman, Quentin Jackson, John Sanders(tb); Jimmy Hamilton(cl,ts);Russell Procope(cl,ss,as); Johnny Hodges(as); Paul Gonsalves(ts); Harry Carney(cl,as,bar); Duke Ellington(p); Jimmy Woode(sb); Sam Woodyard(d) February 7 & 8, 1956 Chicago   BCP6005

Here is Duke Ellington And His Orchestra play “Upper Manhattan Medical Group”.
Members of the recording are the same as above.
デューク・エリントンの主治医が主催する医療ボランティア団体に捧げた曲です。

尚、最新の情報によると下記録音は「事前に録音されたエリントン楽団の演奏テープ」を彼女が聞きながら制作されたと記載されています。

ローズマリー・クルーニーの録音
1956年2月7日〜8日 ニューヨーク
vocals dubbed at Radio Recorders, 8 and 11 Feb 1956

Here is Duke Ellington And His Orchestra with  Rosemary Clooney play “Blue Rose”.
Willie Cook, Cat Anderson(t); Clark Terry(t,fl); Ray Nance(t,vl,v); Britt Woodman, Quentin Jackson, John Sanders(tb); Jimmy Hamilton(cl,ts);Russell Procope(cl,ss,as); Johnny Hodges(as); Paul Gonsalves(ts); Harry Carney(cl,as,bar); Duke Ellington(p); Jimmy Woode(sb); Sam Woodyard(d); Rosemary Clooney(vo)  23 January 1956   Co CL-872

Here is Duke Ellington and his Orchestra with  Rosemary Clooney play “I Got It Bad”.
Members of the recording are the same as above.
27 January 1956   Co CL-872

Here is Duke Ellington and his Orchestra with  Rosemary Clooney play “It Don’t Mean A Thing”.
Members of the recording are the same as above.
27 January 1956   Co CL-872