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大阪ジャズ同好会第46回例会概要(3) 『ジャズ・オデッセイシリーズ』の魅力 担当平野

2021年10月15日

日本コロンビアが「ジャズ・オデッセイシリーズ」として発売した3枚組・3シリーズ(ニューオリ ンズ~シカゴ~ハーレム)計9枚から歴史的名演をご紹介致します。(油井正一さんによる解説文も一部抜粋し添付しました)

「ニューオリンズ編」

1.Bunk Johnson「Oh,didn’t he rambl」
Bunk Johnson, Jim Robinson (tb), George Lewis(cl), Baby Dodds (snare-ds) George Lewis’s home New Orleans, 3:15 to 7:30 pm, May 18, 1945
注記:この一曲に限り、ウィリアム・ラッセル氏経営「アメリカン・ミュージック・レコ ード」 のご厚意により収録されました。(ジャズの歴史を検証するため特別に収録されました) このセットを通じて、唯一曲の純ブラス・バンド演奏です。ジャズは19世紀末のこうした黒人ブ ラス ・バンドから起りました。この曲はお葬式の帰り道で演奏されるマーチ曲です。ニューオリ ンズでは、有名人の黒人男性 (男性に限ります)が死ぬとブラスバンドが雇われ、家から墓場まで の道を静かな讃美歌を演奏しながらゆるやかに行進します。埋葬がすむまで悲しい讃美歌が続き ます。しかし一旦家路に戻るときはこうした賑やかなマーチがかなりジャズ的に演奏され、会葬者 一同は生きる者の歓喜と神のみめぐみを讃え、法悦境に浸るのであります。

2.Original New Orleans Rhythm Kings「Milenberg joys」
Paul Mares (cnt), Leon Rappolo (cl) New Orleans, January 23, 1925 キング・オリヴァーの影響をみせたポール・メアーズのバンド指揮とトランペット。さらに晩期な がらレオン・ラポロのクラリネットが最もよくフィーチュアされた演奏として不滅の価値をもつ 演奏です。

3.Sam Morgan’s Jazz Band 「Sing on」New Orleans, April 14, 1927
Sam Morgan (cnt,vcl),Ike Morgan (cnt), Jim Robinson (tb) サム・モーガン・ジャズ・バンドの伝説的な8曲が今回すべて収録されたことは全世界のコレクター を狂喜させました。これらのレコードはいずれも少数がニューオリンズ附近のお客を相手に売りさ ばかれただけで、40年ちかくを経た今では最も入手困難なSP盤に数えられていたからです。

(以下、2曲はニューヨークのスタジオで録音)
4.Clarence Williams’ Blue Five「Texas moaner blues」
Louis Armstrong (cnt), Charlie Irvis (tb), Sidney Bechet (cl,sop), Clarence Williams (p), Buddy Christian (bj) New York, October 17, 1924 (原盤Okeh 8171) クラレンス・ウィリアムスは1915年に楽譜出版社「ピロン=ウィリアムス」を興しました。出版 したヒット曲に《シスター・ケイト》があります。ニューヨークに出てレコード・プロデューサー となりました。1921年のことです。黒人プロデューサーのパイオニアです。20年代を通じて最も 貴重なレコードの幾つかは彼の手になるものです。

5.Noble Sissle 「Dear old southland」
Sidney Bechet (cl,sop), Noble Sissle (dir) New York, April 14, 1937 長い間ノーブル・シスル楽団のスターであったシドニー・ベシェのソプラノ・サックスを存分に フューチュアした録音(注記:録音された当時はSPでは発売されず本レコードで初めて収録された名演です)

第一集「ニューオリンズ」あとがき(一部抜粋)
ジャズの歴史の最も重要な部分である創生期のニューオリンズ・ジャズは今まで文献によってしか知ることができませんでした。 (中略) SP時代を含めて我々が聴くことができたニューオリンズ・ジャズの多くはニューヨ ーク・シカゴで吹きこまれたものか、1940年代以降再発見されたオール ドタイマーによる懐古的な吹きこみでありました。このセットによって私たちの前に展開される のは、文献にその名をとどめている人たちが、その絶頂期に吹きこんだものでありまして、これ らによってはじめてニューオリン ズ・ジャズの実体が把握できるといっても過言ではないのであ ります。

「シカゴ編」


6.King Oliver And His Creole Jazz Band「Tears」
King Oliver, Louis Armstrong (cnt), Honore Dutrey(tb),Johnny Dodds(cl),Charlie Jackson (bassax),Lil Armstrong(p), Johnny St. Cyr(bj), Baby Dodds (ds) October 8 & 9, 1923 (原盤 Okeh 40000) キング・オリヴァーはシカゴに着いた瞬間からサウスサイドジャズの最大スターになりました。

7.Jelly Roll Morton’s Jazz Band 「Someday sweetheart」October 30, 1923 (原盤 Okeh 8105) この演奏の最初の部分が典型的なニューオリンズ・アンサンブルになっておらず、メロディの提示 により関心を払っている点に一寸とまどいを感じるかもしれません。

8.Chicago Footwarmers 「Get ‘em again blues」July 2, 1928(原盤 Okeh 8599)
Natty Dominique (cnt),Kid Ory (tb), Johnny Dodds(cl), Jimmy Blythe(p), Baby Dodds(洗濯 板) ジミー・ブライスは1930年代のなかば頃に30才代でこの世を去ったブルース・ピアニストですが 20年代のシカゴで多くの黒人コンボ・レコーディングを吹きこみました。その多くはウォッシュ ボード(洗濯板)やカズー(吹奏する玩具)など土俗的な香りの編成をとりいれましたが、メンバーが よく今日では珍重されています。

9.McKenzie And Condon’s Chicagoans「Liza」(原盤 Okeh 40971)
Jimmy McPartland (cnt), Frank Teschmacher (cl), Bud Freeman (ts), Joe Sullivan (p), Eddie Condon (bj), Jim Lannigan (tu,b), Gene Krupa (ds), Mezz Mezzrow(cymbals), December 16, 1927 オースチン高校生たちの間に生まれたシカゴ・スタイルが初めて吹き込まれたときの記念すべきレ コードです。若い(白人)ミュージシャンたちは、オリヴァーの出ている「リンカーンガーデン」に 殺到するようになりました。オリヴァーの演奏を勉強の手本とするようになりました。

10.Jimmy Yancey 「Bear trap blues」
Jimmy Yancey (p) Faber Smith (vcl) February 23, 1940 (原盤 Vocalion 05490) ジミー・ヤンシー(1894~1951) は, ブギウギ・ピアノの父として知られる存在です。一生をシカ ゴのホワイト・ソックス球場のグラウンド・キーパーとして働き、自宅にピアノを持たず「家賃パー ティ」にひょっこり現われては歓迎されたピアニストで、本質的にはブルース・ピアノですがスパ ニッシュ・リズムや西印度諸島のラテン・リズムさえも交錯しあった不思議なリズム感は黒人庶 民芸術を研究する人々を狂喜させずにはおきません。

第二集「シカゴ」あとがき(一部抜粋)
ニューオリンズにつぐ第二のジャズ都市シカゴは、ニューオリンズよりもはるかに変化のある動き を呈しました。(中略)ジャズ史上、最も多彩なシカゴ時代がこのように要領よく編集されたことを 愛好者の一人として心からうれしく思います。(冒頭の)「シカゴのジャズ」を執筆したジョン・スターイナー氏はイリノイ大学の化学科の教授で、1930年代の終わりから、シカゴ・ジャズ史の研 究に没頭しパラマウントレコードを興し、歴史的名盤を再発売しています。会社に原盤がないのでミュージシャン、研究家の所蔵レコードをかなり多く借用して採録したとのことですが、ほとんど針音もなく立派なコレクションが出来上がったことは、文化財としての価値を不滅のものにし ております。

「ニューヨーク編」

11.James P. Johnson「Keep off the grass」 October 18, 1921 ( (原盤 Okeh 4495) 「ストライド・ピアノの父」とよばれるジェイムス・P・ジョンソンはニュージャージー州ニュー・ ブルンスウィックの生まれですが、一生を二ューヨークで過しました。このレコードでの彼は初期 のラグタイムの影響から脱し、よりジャズ的になっています。ジョンソンもまた先輩のユービー・ ブレイクと同様作曲に秀で、のちスタンダードとなった曲を書いています。

  1. Fletcher Henderson And His Orchestra「Livery stable blues 」
    Russell Smith, Joe Smith, Tommy Ladnier (tp), Jimmy Harrison, Benny Morton (tb), Buster Bailey (cl,as), Don Redman (cl,as,arr) Coleman Hawkins (ts,cl), Fletcher Henderson (p), Charlie Dixon (bj), June Cole (tu), Kaiser Marshall (ds) April 28, 1927 当時ヘンダーソンの編曲者はドン・レッドマンでした。 各セクションを対立させてのアンサンブ ルはのちヘンダーソン・スタイルとして有名となり、ベニー・グッドマン楽団にうけつがれてゆく ものです。第3コーラスに現われるクラリネット・ユニゾンを用いたアンサンブルは、ヘンダーソ ンスタイルの代表的なサウンドのひとつです。

  1. Bessie Smith 「Standin’ in the rain blues」
    Bessie Smith (vcl), Demas Dean(tp),C. Green (tb), F. Longshaw (p) February 21, 1928 テネシー州チャタヌガに生まれたベッシー・スミス(1895-1937) は最大のブルース歌手といわれ 「ブルースの皇后」とよばれました。彼女が出演するとリンカーン劇場やラファイエット劇場はい つも満員の聴衆を集めたといいます。30年代に入ると彼女は急速に人気を失い、彼女自身も下り 坂に向いました。

14.Luis Russell And His Orchestra「The new call of the freaks」September 6, 1929
Henry “Red” Allen, Bill Coleman (tp), J.C. Higginbotham (tb,vcl), Albert Nicholas (cl,as), Charlie Holmes (as,sop), Teddy Hill (ts), Luis Russell (p,dir), Will Johnson (bj,g), Pops Foster (b), Paul Barbarin (ds) (原盤 Okeh 8734) ディキシーの標準編成と思われていたトランペット、 トロンボーン、クラリネットによる三管ア ンサンブルが実はかなりあとになってから完成されたもので、ニューオリンズ・ジャズの絶頂期に 於いては、サックスが極めて重要な存在であったことを実証しています。

15.Thomas “Fats” Waller And His Hot Piano「Draggin’ my heararound」March 13, 1931 ファッツ(太っちょ)というでアダ名で知られたトーマス“ファッツ”ウォーラーは1920年代から頭 角を現わしてきたピアニストで、クラブでピアノを弾くほか劇場ではオルガンを弾きました。(中略)ウォーラーはまたすぐれた歌手でした。後期のものには、おどけ切って「イエス! イエス!」 を乱発する趣味のわるいものもありますが、そのペーソスにみちたバラードは絶品です。

16.Harlan Lattimore And His Connie’s Inn Orchestra「Chant of the weed」Langston Curl, Shirley Clay, Sidney DeParis (tp), Claude Jones (tb,vcl), Quentin Jackson, Benny Morton (tb), Don Redman (cl,as,vcl), Edward Inge, Rupert Cole (cl,as), Robert Carroll (ts), Horace Henderson (p,arr) Talcott Reeves (bj,g), Bob Ysaguirre (tu,b), Manzie Johnson (ds), Harlan Lattimore (vcl) June 17, 1932 日本コロムビアが日本で自主的に編集した「ジャズの歴史」に「ドン・レッドマン楽団」の名で 収録されたものと同一の母盤によるもので最初は「ハーラン・ラティモア楽団」 の名で出たので した。日本で最初に出た時《マリファナの歌》 という邦題がつけられましたが、この場合 weed (雑草)というのは麻薬タバコの原料であるマリファナを指しています。その麻薬に酔いしいれた気 分を音楽にしたもので、その奇怪なハーモニーはまさに当時として第一級の前衛的作品であったと 申せましょう。レッドマンはその後ながくこの曲を自分のテーマとして用いました。

17.Cootie Williams And His Orchestra「Epistrophy」 Chicago, April 1, 1942 未発売原盤による珍品です。《エピストロフィー》は 現在セロニアス・モンクのテーマ曲となっ ていますが,当時モンクとケニー・ クラークが共作しジョー・ガイがウィリアムスの許に特参。クー ティは早速デーヴ・マクレーにアレンジさせたものであります。バップの最も初期のレコーディン グであるこのレコードが今回はじめて陽の目をみたことは喜ばしい限りです。その頃この曲は 《フライ・ライト》と題されていました。

第三集「ハーレム」まえがき(一部抜粋)
愛好家の中には、本集の選曲方針があまりにも広範囲に亘っている点に不満を抱かれるかたがあ るかもしれません。しかし、その点にこそ、アラビアン・ナイト的なハーレム芸能の多彩さがう かがえるわけであります。

今回ご紹介したレコード「ジャズ・オデッセイシリーズ」(ニューオリンズ~シカゴ~ハーレム)

1.THE SOUND OF NEW ORLEANS 1917~1947(3枚組)
2.THE SOUND OF NEW ORLEANS 1923~1940(3枚組)
3.THE SOUND OF HARLEM(3枚組)

            以上

(再編集版)神戸ジャズサロン(2018年2月例会概要)「昔、ジャズに惹き込まれたアルバム(演奏)」

April 23 ,2020

神戸ジャズサロン(2018年2月例会)に参加した翌日に投稿した例会概要を再編集致しました。今回のテーマは「昔、ジャズに惹き込まれたアルバム(演奏)」でした。ベテラン会員の方から面白い話が聞けとても楽しい時間を過ごすことが出来ました。

以下、ベテラン会員の方がお持ちになったレコード.CDをご紹介します。

1.Y瀬氏(大阪ジャズ同好会でいつも素敵な選曲をされます)

Lionel Hampton All Stars ‎– The “Original” Star Dust.
昭和29年、ご親戚の家でこの演奏をお聞きになったそうです。
いつもはCDしかお持ちにならないのですが、今回は「ご購入された4枚のSP」「10インチ」「12インチ」をご持参されました。
曲が流れると「僕もこれ買ったで」とか「ラジオでよう聞いたな」と皆さん盛り上がってました。

2.Fさん

高校の先輩が故油井正一さんであった事から、先輩油井さんの思い出話を披露されました。
ご紹介されたCDは「THE AMAZING SHOICHI YUI VOLUME 2(じ・あめいじんぐ油井正一 Vol.2)」当日Fさんが配付された曲リストも下記に添付しました。

3.Tさん

日本コロンビアのHistory Of Jazz Vol.1

昭和25年に発売されたSPも購入されていたそうですが、最初の赴任地を離れる際に捨てられたということです。LPを自作CDにされていました。(写真)

Here is King Oliver’s Jazz Band play “High Society Rag”.

Joe Oliver, Louis Armstrong(cnt) Honore Dutrey(tb) Johnny Dodds(cl) Lil Hardin(p) Bud Scott(bj) Baby Dodds(d) Chicago, June 22, 1923

昭和25年に発売されたSPアルバムに添付された「ジャズの歴史」大谷吉英氏解説(平野所蔵)

又、神戸ACC(アメリカ文化センター)でのジャズレコードコンサート(解説故末廣光夫さん)の思い出話を披露され、印象に残った3曲を紹介されました。

「末廣さんは須磨の放送局(現在のラジオ関西)での生放送の直後に多くのレコードを風呂敷に包んで、市電(現在は廃線)に乗ってアメリカ文化センターに来られていた」

下記3曲をご紹介されました。

・Jelly Roll Morton’s Red Hot Peppers: Original jelly roll blues
・Jelly Roll Morton’s Red Hot Peppers: Doctor Jazz
December 16, 1926

・Louis Armstrong And His Hot Five: Muskrat ramble
February 26, 1926

4.Mさん(神戸ジャズサロン主宰者)

末廣さんのお兄さん(お隣にお住まいだったそうです)に貸したまま、長い間返却されなかった「Vic Dickenson Showcase」から2曲ご紹介されました。

(1)Jeepers creepers
(2) Russian lullaby
Ruby Braff (tp) Vic Dickenson (tb) Edmond Hall (cl) Sir Charles Thompson (p) Steve Jordan (g) Walter Page (b) Les Erskine (d)  New York, December 29, 1953

Photo by KobeJazz Jp.

Mさんは若い頃からレコードコンサートを開催したかったそうです。(現在のように簡単にジャズを聞けなかった時代です)

しかし当時故末廣光夫さんから「レコードコンサートなんか止めとけ」と言われたそうです。
その後、末廣さはMさん主宰の例会(神戸ジャズ愛好会)にはゲスト解説をされていたそうです。

昭和29年12月12日 東京 日本テレビにて。
右から、鳥居則達(Vo)、大越泰三(Tb)、福井康平(Banjo)、小曽根実(p)、右近雅夫(Tp)、油井良光(Cl)、鈴木敏夫、?さん Photo by courtesy of Kobejazz.jp

休憩中に最近お亡くなりになった小曽根実さんの写真をご覧になったTさんが「このクラ、油井さんの弟やで」と教えて頂きました。

故油井正一氏がミュージックライフ(音楽誌)に故末廣光夫氏を紹介された記事を添付します。

添付の記事はミュージックライフ(音楽誌)からお借りしました。

 

京都在住の長さんから質問がございました。「SP版とLP版の選曲相違について」

昭和25年発売されたSP版「ジャズの歴史」と後年発売されたLP版「ジャズの歴史」とは収録曲が変わっています。LP発売時にミュージックライフが特集した記事を添付しました。

村岡貞(SP発売時も選定責任者)「楽屋話」(1956年8月号「今月の話題」から転載)

神戸ジャズ愛好会7月例会(2019年7月28日)特集「白人ジャズメン・ジャズウィメンの名手は誰?』③

2019年7月31日

・K氏

「Bill Evans」

1970年にヘルシンキで収録されたビデオから「Nardis」をご紹介されました。本ブログでは全編添付致しました。

Here is Bill Evans in Helsinki (1970 Live Video)
Bill Evans(p),Eddie Gomez(b),Marty Morell(ds)

「Ann Burton:Blue Burton」

当日は“I Can’t Give You Anything But Love”をご紹介されましたが、アルバム全曲お聴き下さい。

Here is Ann Burton sings “Blue Burton ( Full Album )”.
Ann Burton(vcl), Louis van Dijk (p), Jacques Schols (b) John Engels (ds) Piet Noordijk(as) Amsterdam, July 27~28, 1967

ブログ作成者から1972年のテレビ映像(ドイツ)を添付させて頂きます。
Here is Ann Burton sings ”Got To Get You Into My Life”.
Ann Burton(vcl), Wim Overgaauw(g),Louis van Dijk (p), Jacques Schols (b), John Engels (ds)

例会当日はアン・バートンの伝記(Annette Muller著)もご紹介されました。K氏が参考された下記ブログもご覧下さい。

こちら ▶️

・平野

「Lou Mecca」

ブルーノートレコードでは数少ない白人による録音です。

Here is Lou Mecca Quartet play ”All The Things You Are”.
Lou Mecca (g) Jack Hitchcock (vib) Vinnie Burke (b) Jimmy Campbell (ds)
N.J., March 25, 1955
All The Things You Are

Here is Lou Mecca Quartet play ”Bernies Tune”.
Members of the recording are the same as above.
Bernies Tune

Photo above of Eddie Lang by courtesy of YouTube

「Eddie Lang」

1920 年代の録音とは思えない斬新な演奏です。

Here is Eddie Lang and Arthur Schutt play “Eddie’s Twister”.
Eddie Lang (g), Arthur Schutt (p) New York, April 1, 1927
Eddie’s Twister

「Bix Beiderbecke」

F川さんから前回終了時に「平野君、ビックスかけるよね」と言われました。又、T川さんには「ビックス紹介権利」を譲って頂きました。下記の録音は大阪ジャズ同好会でもご紹介しました。

Here is Bix Beiderbecke plays “In a Mist”.
Bix Beiderbecke( piano solo) New York, September 8, 1927
In a Mist

上記録音は「THE BIX BEIDERBECKE STORY(上記写真)」に収録されており、故油井正一氏による長文の解説書(20ページ)は貴重な資料だと思います。

(ビックスが弾いたピアノ)Bix’s piano:Wurlitzer baby grand, serial number 124231
Photo by courtesy of jjs.libraries.rutgers.edu

 

The Red Heads(2)

November 13,2018

left to right:
back Jimmy Dorsey, Bill Haid, Vic Berton, Fred Morrow, Dick McDonough
front Red Nichols and Miff Mole by courtesy of Tapatalk

Red Nichols(レッド・ニコルス)の名前は伝記映画「五つの銅貨」で有名ですが、トランペット奏者としての評価は芳しくありません。

最近のジャズ誌ではレッド・ニコルスについて記載されることがなく古い書物からの引用になりますが一読願います。

河野隆次著 『ジャズの辞典』より
「彼自体のプレイはお義理にもホットといえないお寂しいものであった」

ヨアヒム・ベーレント著 『ジャズ』より
「ニコルスの吹奏は、より明瞭で流麗でさえある。だが、感受性とイマジネーションの点では到底ビックスの敵ではなかったのであった」

Photo above of Bix Beiderbecke by Wikipedia

1920年代の巨星ビックス・バイダーベックと比べるのは可哀想だと思います。

レッド・ニコルスはPhil Napoleon(フィル・ナポレオン)と並び1920年代のジャズシーンでは「ニューヨーク・スタイル」と称され、「シカゴ派」とは異なった演奏スタイルで大衆に人気がありました。

Phil Napoleonについては詳しく聞いておりませんので、名前の列記に留めるのみにさせて頂きます。

レッド・ニコルスの人気については面白い事例がありました。

油井正一著(編) 『ディキシーランドジャズ入門』より(長文ですがご容赦下さい)

「1928年、プリンストン大学のジャズファンにレコード・コレクションの内容についてアンケートを求めた結果アームストロングのレコードを持っていたのは1人で、しかも1枚だったという。彼等が愛聴していたのは、白人バンドの「カリフォルニア・ランブラーズ」「レッド・アンド・ミフズ・ストンパーズ」が大部分を占め、(中略)ハーレムの黒人ジャズなどまるで聞かれていなかったわけだ。」

レッド・ニコルスの楽歴については故大和明氏の解説文を以下に添付致しました。(レッド・ニコルス物語 MCA-3012裏面解説文を転載)

Photo above of Eddie Lang by AllMusic

今回はEddie Lang(エディ・ラング)と共演した小編成の録音(1926年3月、11月)を除いたTHE RED HEADSの演奏をお楽しみ下さい。

尚、録音データはBrian Rustディスコグラフィーを参考にしました。

Here is THE RED HEADS play ”Headin’ For Louisville”.(106402)
Red Nichols(tp),Miff Mole(tb), Bobby Davis, Fred Morrow(cl, as),Arthur Schutt(p), Vic Berton(d)
New York November 13, 1925

Headin’ For Louisville

Here is TED RED HEADS play “Hangover”.(106604)
Red Nichols(tp),Miff Mole(tb),Jimmy Dorsey(cl, as), ? Alfie Evens(cl, ts), Rube Bloom(p),Vic Berton(d)
New York February 4, 1926

_Hangover

Here is RED HEADS play “Heebie Jeebies”.(107205)
Red Nichols, Leo McConville(tp), Brad Gowans(cnt),Miff Mole(tb),Jimmy Dorsey(cl, as), Arthur Schutt(p), Dick McDonough(bj, g),Vic Berton(d)
New York November 11, 1926

Heebie Jeebies

Here is RED HEADS play “A Good Man Is Hard To Find”.(107782-1-2)
Red Nichols(tp),Wingy Manone (cnt),Miff Mole(tb), Fud Livingston(cl),Arthur Schutt(p),Vic Berton(d)
New York September 16, 1927

A Good Man Is Hard To Find

大阪ジャズ同好会第30回例会概要(3)『ソロ・ピアノの世界』(後編)

April 11.2018

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Photo by Jazz Pioneers(Andrew Oliver)

参加者持ち寄り『ソロ・ピアノの世界』(後編)

・寺本氏(同好会世話人)

ブラインドフォールドテストとして4曲が出題されました。

録音日については記載しておりますが演奏者は記載しておりません。(正解は後日掲載致します)

1.Love Me or Leave Me(Aug.2,1929)

2.Someone to Watch Over Me(May.1949)

3.Stella by Starlight(Sep.1953)

4.Three For Cicci(March 1,1966)

本題から離れて恐縮ですが、ブラインドフォールドテストについてご報告したいことがあります。

故見富栄一氏:1982年、東京・渋谷のジャズ喫茶スイング:日本経済新聞 (2015/11/19付朝刊から)

ブラインドフォールドテストの第一人者見富栄一氏がお亡くなりになりました。

心よりご冥福をお祈りいたします。

日本経済新聞 (2015/11/19付朝刊) から故人の記事を引用致しました。

「ジャズ聴き分け 草分け(演奏者当て60年の「帝王」、傘寿超えても衰えぬ聴力)」

下記をクリックして下さい。
「ジャズ聴き分け 草分け」 

・平野

1.Aaron Diehl

ブログではYouTube映像を添付しました。
Here is Aaron Diehl plays “Single Petal of a Rose” (Live at Dizzy’s).

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Photo by courtesy of 1928 HITS ARCHIVE

2.Bix Beiderbecke
冒頭に「アスペクト・イン・ジャズ(FM放送)」から故油井正一氏の解説を付け加えました。又、ラトガース大学の研究資料からビックスが弾いていたと推測されるピアノの写真もご覧下さい。

Here is Bix Beiderbecke plays“In a Mist”.
New York, September 8, 1927

Bix’s piano:Wurlitzer baby grand, serial number 124231
Photo by courtesy of jjs.libraries.rutgers.edu

 

神戸ジャズサロン(2018年2月例会)

February 26.2018

神戸ジャズサロン会場 神戸居留地 高砂ビル 5階 「音楽サロン」

昨日「神戸ジャズサロン」(神戸ジャズ愛好会と会員は同じ)に参加しました。

今回のテーマは「昔、ジャズに惹き込まれたアルバム(演奏)」でした。ベテラン会員の方から面白い話が聞けとても楽しい時間を過ごすことが出来ました。

以下、ベテラン会員の方がお持ちになったレコード.CDをご紹介します。

1.Y瀬氏(大阪ジャズ同好会でいつも素敵な選曲をされます)

Lionel Hampton All Stars ‎– The “Original” Star Dust
昭和29年、ご親戚の家でこの演奏をお聞きになったそうです。
いつもはCDしかお持ちにならないのですが、今回は「ご購入された4枚のSP」(上記写真)、「10インチ」「12インチ」をご持参されました。
曲が流れると「僕もこれ買ったで」とか「ラジオでよう聞いたな」と皆さん盛り上がってました。

2.Fさん

音楽クラブの顧問を故油井正一さんにお願いされていたことから、油井さんの思い出話をされました。
ご紹介されたCDは「THE AMAZING SHOICHI YUI VOLUME 2」 じ・あめいじんぐ油井正一 Vol.2
Kさんが配付された曲リストも上記に添付しました。

3.Tさん(トラッド愛好家で私が神戸の例会に参加して以降懇意にさせて頂いています)
日本コロンビアのHistory Of Jazz Vol.1を自作CDにされていました。(写真)
尚、昭和25年に発売されたSPも購入されていたそうですが、最初の赴任地を離れる際に捨てられたということです。

(1)King Oliver’s Jazz Band: High Society Rag Okeh 4933
June 22, 1923

又、神戸ACC(アメリカ文化センター)でのジャズレコードコンサート(解説故末廣光夫さん)の思い出話を披露され、印象に残った3曲を紹介されました。
(2)Jelly Roll Morton’s Red Hot Peppers: Original jelly roll blues
(3)Jelly Roll Morton’s Red Hot Peppers: Doctor Jazz
December 16, 1926

(4)Louis Armstrong And His Hot Five: Muskrat ramble
February 26, 1926

「末廣さんは須磨の放送局(現在のラジオ関西)での生放送の直後に多くのレコードを風呂敷に包んで、市電(現在は廃線)に乗ってアメリカ文化センターに来られていた」

4.Mさん(本例会の主宰者)
末廣さんのお兄さんに貸したまま、長い間返却されなかった「Vic Dickenson Showcase」
(1)Jeepers creepers
(2) Russian lullaby
Ruby Braff (tp) Vic Dickenson (tb) Edmond Hall (cl) Sir Charles Thompson (p) Steve Jordan (g) Walter Page (b) Les Erskine (d)
New York, December 29, 1953

Photo by KobeJazz Jp.

Mさんは若い頃からレコードコンサートの主宰をしたかったそうですが、その当時故末廣光夫さんから「レコードコンサートなんか止めとけ」と言われたそうです。
その後、Mさんが開始された例会には末廣さんは解説をされていました。

昭和29年12月12日 東京 日本テレビにて。
右から、鳥居則達(Vo)、大越泰三(Tb)、福井康平(Banjo)、小曽根実(p)、右近雅夫(Tp)、油井良光(Cl)、鈴木敏夫、?さん
Photo by courtesy of Kobejazz.jp

休憩中に最近お亡くなりになった小曽根実さんの写真をご覧になったTさんが「このクラ、油井さんの弟やで」と教えて頂きました。

最後に故油井正一氏がミュージックライフ(音楽誌)に故末廣光夫氏を紹介された記事を添付します。番組のテーマ音楽を聴きながらお読み下さい。