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神戸ジャズ愛好会1月例会(2023年1月29日)概要②特集「スイング時代以前のジャズの名演」前半

2023年1月31日記

特集「スイング時代以前のジャズの名演」前半

持ち寄り選曲に際しては、原則1935年以前の録音を条件と致しました。

・T川氏

Nat Hentoff 監修 『Little Club Jazz Small Groups in the 30’s』 より4曲選曲されました。

1.Joe Venuti’s Blue FourMy Honey’s Lovin’ Arms

Joe Venuti(vln), Jimmy Dorsey(cnt,cl,as,bar), Rube Bloom (p,vcl), Eddie Lang (g), Charlie Kegley(ds) NYC December 12, 1928

2.The Harlem FootwamersRocky Mountain Blues

Arthur Whetsol(tp), Joe “Tricky Sam”Nanton(tb), Barney Bigard(cl), Duke Ellington(p), Fred Guy(bj), Wellman Braud(b), Sonny Greer(ds) NYC October 14, 1930

3.Eddie South and his International OrchestraHejre kati」

Photo by Wikipedia

Clifford King(cl), Eddie South(vln), Antonia Spaulding(p), Everett Barksdale(bj), Jimmy Bertrand(ds), Chicago September 27, 1931

4.Henry Allen and Coleman Hawkins and Their OrckestraSister Kate

Henry “Red” Allen(tp), Dickie Wells(tb), Russell Procope(cl, as), Coleman Hawkins(ts), Don Kirkpatrick(p),Bernard Addison(g), John Kirby(b), Walter Johnson(ds), NYC March 27, 1933

・K氏

Jimmie Noon & Earl Hines 「Apex Blues」から3曲

1. I Know That You Know

Jimmie Noone (cl,vcl) Joe Poston (cl,as,vcl) Earl Hines (p) Bud Scott (bj,g) Johnny Wells (d)Chicago, May 16, 1928

2. Apex Blues

Jimmie Noone (cl,vcl) Joe Poston (cl,as,vcl) Earl Hines (p) Bud Scott (bj,g) Johnny Wells (d)Chicago, August 23, 1928

3. My Daddy Rocks Me

unknown(tp)(tb) Jimmie Noone(cl) Joe Paston(as) Zinky Cohn(p) Junie Cobb(bj) Bill Newton(tuba) Johnny Wells (ds) Mae Alix(vo) July 11,1929

Bessie Smith 「The Collection」から2曲

当日ご紹介されたベシー・スミス物語(日本盤3枚組)については、概要作成者が所蔵しておりましたので、以下2曲については解説書記載の日本語(訳)等を転載致します。

4. Down Heated Blues

Bessie Smith(vo) Clarence Williams(p) NYC February 16,1923

Gee, but it’s hard to love someone When that someone don’t love you
I’m so disgusted, heartbroken, too
I’ve got those down hearted blues
Once I was crazy ‘bout a man He mistreated me all the time The next man I get has got To promise to be mine, all mine
Trouble, trouble, I’ve had it all my days
Trouble, trouble, I’ve had it all my days
It seems that trouble’s going to follow me to my grave
I ain’t never loved but three men in my life
I ain’t never loved but three men in my life
My father, my brother and the man that wreck my life
It may be a week, it may be a month or two
It may be a week, it may be a month or two
But the day you quit me honey, it’s coming home to you
I got the world in a jug, the stopper’s in my hand I got the world in a jug, the stopper’s in my hand
I’m gonna hold it until you don’t(?) come under my

愛してくれない人に
恋をするのは切ないこと。
私はうちひしがれ、恋を失い,
失恋のブルースにとりつかれました。

かつて一人の男に夢中でしたが、
彼はずっと私をひどい目に合わせました。
次の男はすっかり私のものになってくれると約束してくれました。

苦労, 苦労・・・これまで苦労のしつづけでした。
苦労, 苦労・・・これまで苦労のしつづけでした。
苦労は墓場まで私について来そうです。

一生に三人の男以外には、
一度も愛されたことはありません。
一生に三人の男以外には、
一度も愛されたことはありません。
父と兄と、そして私の一生を台無しにしたあの男と。

一週間か、一、二ヶ月か
一週間か、一、二ヶ月か
ともかくあなたが私を捨てる日には
私もあなたを捨ててあげる。

私は壺の中に世界をもち、手でその蓋を押えている。
私は壺の中に世界をもち、手でその蓋を押えている。
あなたが私のいう通りにしたら
その蓋をあけて生のよろこびを味わせてあげよう。

(追加解説)
I’ve got the world in a jug,
The stopper’s in my hand.

は黒人ブルースの慣用句。直訳すれば「壺の中に世界をもち、手でその蓋を押えている」である。モズレー氏によれば 「瓶の中に船をみたことがありますか? それと同じで彼女は壺の中に美しい生のよろこびにみちた世界をもち、よい男性だけのためにその蓋を開いてくれるのです」とのことであった。

これがベシーの初吹きこみである。 既に各社から色んな歌手が歌ったものが出て、特に作者アルバータ・ハンターのパラマラント盤はベストセラーになっていた。それだけにベシーは緊張し、5枚のテークをとってはじめて満足したという。ジョージ・ホーファーはこのレコードが78万枚も売れた原因を“I’ve got the world in a jug……” のコーラスに於けるベシーの解釈が卓抜な点にあったとしている(ジャズ・ メーカー P.133引用)。

5. Do Your Duty

Bessie Smith (vo) Franky Newton (tp) Jack Teagarden (tb) Chu Berry(ts) Billy Taylor (b) Benny Goodman (cl) Buck Washington(p) Bobby Johnson (g) NYC November 24,1933

If I call three times a day baby,
Come and drive my blues away.
When you come be ready to play Do your duty.
If you want to have some love Give your baby your last buck.
Don’t come quackin’ like a duck.
Do your duty.

I heard you say you didn’t love me baby You silly as Mrs. Brown.
I don’t believe a word she says.
She’s the lyinest woman in town,
Oh babe, when I need attention at home I’ll just call you on the telephone
Come yourself, don’t send your friend Jones.
Do your duty.

If my radiator gets too hot, Cool it off in lots of spots.
Give me all the service you got. Do your duty.
If you don’t know what it’s all about, Don’t sit around my house and pout. ‘Til you catch your mama slippin’ out
Do your duty.

If you make your own bed hard, Thats the way o’life.
If I’m tired of sleepin’ by myself
You too dumb to realize.
Oh babe, I’m not tryin’ to make you feel blue.
I’m not satisfied with the way that you do.
I’ve got to help you find somebody too.
Do your duty.

一日に三度呼んだら
来て私の憂うつを追っ払って頂だい。
そのつもりになってやってきて。
つとめを果して頂だい。
もしラヴがしたかったら
あなたの恋人に持ち金全部をやりなさい。
ケチンボしないで
つとめを果して頂だい。

私を愛してなかったといったそうですか、
ブラウン夫人のような嘘つきね。
彼女のいうことなんか信じません。
いちばんのウソつきだもの
あなたが欲しくなったら,
電話ですぐ呼びます。
友だちのジョーンズなんかよこさず,自分できて,
つとめを果たして頂だい。

もし私のラジエーターが過熱したら, あっちこっちいじって冷却して頂だい。
出来る限りのサービスをして頂だい。
つとめを果たして頂だい。
何が何だかわからない時に,
私の家でふくれっつらなどしちゃだめよ。
ママが抜けだすまでは
つとめを果たして頂だい。

あなたが堅いベッドに寝たいというなら,
それは好みの問題よ。
私がひとり寝に飽きてるとしたら
あなたは無理解な馬鹿なのよ。
おおベイビー, あなたをブルーにさせるつもりはない。
やり方が不満なの
別の人を探す手伝いはしてあげる
つとめを果たして頂だい。

大阪ジャズ同好会第46回例会概要(3) 『ジャズ・オデッセイシリーズ』の魅力 担当平野

2021年10月15日

日本コロンビアが「ジャズ・オデッセイシリーズ」として発売した3枚組・3シリーズ(ニューオリ ンズ~シカゴ~ハーレム)計9枚から歴史的名演をご紹介致します。(油井正一さんによる解説文も一部抜粋し添付しました)

「ニューオリンズ編」

1.Bunk Johnson「Oh,didn’t he rambl」
Bunk Johnson, Jim Robinson (tb), George Lewis(cl), Baby Dodds (snare-ds) George Lewis’s home New Orleans, 3:15 to 7:30 pm, May 18, 1945
注記:この一曲に限り、ウィリアム・ラッセル氏経営「アメリカン・ミュージック・レコ ード」 のご厚意により収録されました。(ジャズの歴史を検証するため特別に収録されました) このセットを通じて、唯一曲の純ブラス・バンド演奏です。ジャズは19世紀末のこうした黒人ブ ラス ・バンドから起りました。この曲はお葬式の帰り道で演奏されるマーチ曲です。ニューオリ ンズでは、有名人の黒人男性 (男性に限ります)が死ぬとブラスバンドが雇われ、家から墓場まで の道を静かな讃美歌を演奏しながらゆるやかに行進します。埋葬がすむまで悲しい讃美歌が続き ます。しかし一旦家路に戻るときはこうした賑やかなマーチがかなりジャズ的に演奏され、会葬者 一同は生きる者の歓喜と神のみめぐみを讃え、法悦境に浸るのであります。

2.Original New Orleans Rhythm Kings「Milenberg joys」
Paul Mares (cnt), Leon Rappolo (cl) New Orleans, January 23, 1925 キング・オリヴァーの影響をみせたポール・メアーズのバンド指揮とトランペット。さらに晩期な がらレオン・ラポロのクラリネットが最もよくフィーチュアされた演奏として不滅の価値をもつ 演奏です。

3.Sam Morgan’s Jazz Band 「Sing on」New Orleans, April 14, 1927
Sam Morgan (cnt,vcl),Ike Morgan (cnt), Jim Robinson (tb) サム・モーガン・ジャズ・バンドの伝説的な8曲が今回すべて収録されたことは全世界のコレクター を狂喜させました。これらのレコードはいずれも少数がニューオリンズ附近のお客を相手に売りさ ばかれただけで、40年ちかくを経た今では最も入手困難なSP盤に数えられていたからです。

(以下、2曲はニューヨークのスタジオで録音)
4.Clarence Williams’ Blue Five「Texas moaner blues」
Louis Armstrong (cnt), Charlie Irvis (tb), Sidney Bechet (cl,sop), Clarence Williams (p), Buddy Christian (bj) New York, October 17, 1924 (原盤Okeh 8171) クラレンス・ウィリアムスは1915年に楽譜出版社「ピロン=ウィリアムス」を興しました。出版 したヒット曲に《シスター・ケイト》があります。ニューヨークに出てレコード・プロデューサー となりました。1921年のことです。黒人プロデューサーのパイオニアです。20年代を通じて最も 貴重なレコードの幾つかは彼の手になるものです。

5.Noble Sissle 「Dear old southland」
Sidney Bechet (cl,sop), Noble Sissle (dir) New York, April 14, 1937 長い間ノーブル・シスル楽団のスターであったシドニー・ベシェのソプラノ・サックスを存分に フューチュアした録音(注記:録音された当時はSPでは発売されず本レコードで初めて収録された名演です)

第一集「ニューオリンズ」あとがき(一部抜粋)
ジャズの歴史の最も重要な部分である創生期のニューオリンズ・ジャズは今まで文献によってしか知ることができませんでした。 (中略) SP時代を含めて我々が聴くことができたニューオリンズ・ジャズの多くはニューヨ ーク・シカゴで吹きこまれたものか、1940年代以降再発見されたオール ドタイマーによる懐古的な吹きこみでありました。このセットによって私たちの前に展開される のは、文献にその名をとどめている人たちが、その絶頂期に吹きこんだものでありまして、これ らによってはじめてニューオリン ズ・ジャズの実体が把握できるといっても過言ではないのであ ります。

「シカゴ編」


6.King Oliver And His Creole Jazz Band「Tears」
King Oliver, Louis Armstrong (cnt), Honore Dutrey(tb),Johnny Dodds(cl),Charlie Jackson (bassax),Lil Armstrong(p), Johnny St. Cyr(bj), Baby Dodds (ds) October 8 & 9, 1923 (原盤 Okeh 40000) キング・オリヴァーはシカゴに着いた瞬間からサウスサイドジャズの最大スターになりました。

7.Jelly Roll Morton’s Jazz Band 「Someday sweetheart」October 30, 1923 (原盤 Okeh 8105) この演奏の最初の部分が典型的なニューオリンズ・アンサンブルになっておらず、メロディの提示 により関心を払っている点に一寸とまどいを感じるかもしれません。

8.Chicago Footwarmers 「Get ‘em again blues」July 2, 1928(原盤 Okeh 8599)
Natty Dominique (cnt),Kid Ory (tb), Johnny Dodds(cl), Jimmy Blythe(p), Baby Dodds(洗濯 板) ジミー・ブライスは1930年代のなかば頃に30才代でこの世を去ったブルース・ピアニストですが 20年代のシカゴで多くの黒人コンボ・レコーディングを吹きこみました。その多くはウォッシュ ボード(洗濯板)やカズー(吹奏する玩具)など土俗的な香りの編成をとりいれましたが、メンバーが よく今日では珍重されています。

9.McKenzie And Condon’s Chicagoans「Liza」(原盤 Okeh 40971)
Jimmy McPartland (cnt), Frank Teschmacher (cl), Bud Freeman (ts), Joe Sullivan (p), Eddie Condon (bj), Jim Lannigan (tu,b), Gene Krupa (ds), Mezz Mezzrow(cymbals), December 16, 1927 オースチン高校生たちの間に生まれたシカゴ・スタイルが初めて吹き込まれたときの記念すべきレ コードです。若い(白人)ミュージシャンたちは、オリヴァーの出ている「リンカーンガーデン」に 殺到するようになりました。オリヴァーの演奏を勉強の手本とするようになりました。

10.Jimmy Yancey 「Bear trap blues」
Jimmy Yancey (p) Faber Smith (vcl) February 23, 1940 (原盤 Vocalion 05490) ジミー・ヤンシー(1894~1951) は, ブギウギ・ピアノの父として知られる存在です。一生をシカ ゴのホワイト・ソックス球場のグラウンド・キーパーとして働き、自宅にピアノを持たず「家賃パー ティ」にひょっこり現われては歓迎されたピアニストで、本質的にはブルース・ピアノですがスパ ニッシュ・リズムや西印度諸島のラテン・リズムさえも交錯しあった不思議なリズム感は黒人庶 民芸術を研究する人々を狂喜させずにはおきません。

第二集「シカゴ」あとがき(一部抜粋)
ニューオリンズにつぐ第二のジャズ都市シカゴは、ニューオリンズよりもはるかに変化のある動き を呈しました。(中略)ジャズ史上、最も多彩なシカゴ時代がこのように要領よく編集されたことを 愛好者の一人として心からうれしく思います。(冒頭の)「シカゴのジャズ」を執筆したジョン・スターイナー氏はイリノイ大学の化学科の教授で、1930年代の終わりから、シカゴ・ジャズ史の研 究に没頭しパラマウントレコードを興し、歴史的名盤を再発売しています。会社に原盤がないのでミュージシャン、研究家の所蔵レコードをかなり多く借用して採録したとのことですが、ほとんど針音もなく立派なコレクションが出来上がったことは、文化財としての価値を不滅のものにし ております。

「ニューヨーク編」

11.James P. Johnson「Keep off the grass」 October 18, 1921 ( (原盤 Okeh 4495) 「ストライド・ピアノの父」とよばれるジェイムス・P・ジョンソンはニュージャージー州ニュー・ ブルンスウィックの生まれですが、一生を二ューヨークで過しました。このレコードでの彼は初期 のラグタイムの影響から脱し、よりジャズ的になっています。ジョンソンもまた先輩のユービー・ ブレイクと同様作曲に秀で、のちスタンダードとなった曲を書いています。

  1. Fletcher Henderson And His Orchestra「Livery stable blues 」
    Russell Smith, Joe Smith, Tommy Ladnier (tp), Jimmy Harrison, Benny Morton (tb), Buster Bailey (cl,as), Don Redman (cl,as,arr) Coleman Hawkins (ts,cl), Fletcher Henderson (p), Charlie Dixon (bj), June Cole (tu), Kaiser Marshall (ds) April 28, 1927 当時ヘンダーソンの編曲者はドン・レッドマンでした。 各セクションを対立させてのアンサンブ ルはのちヘンダーソン・スタイルとして有名となり、ベニー・グッドマン楽団にうけつがれてゆく ものです。第3コーラスに現われるクラリネット・ユニゾンを用いたアンサンブルは、ヘンダーソ ンスタイルの代表的なサウンドのひとつです。

  1. Bessie Smith 「Standin’ in the rain blues」
    Bessie Smith (vcl), Demas Dean(tp),C. Green (tb), F. Longshaw (p) February 21, 1928 テネシー州チャタヌガに生まれたベッシー・スミス(1895-1937) は最大のブルース歌手といわれ 「ブルースの皇后」とよばれました。彼女が出演するとリンカーン劇場やラファイエット劇場はい つも満員の聴衆を集めたといいます。30年代に入ると彼女は急速に人気を失い、彼女自身も下り 坂に向いました。

14.Luis Russell And His Orchestra「The new call of the freaks」September 6, 1929
Henry “Red” Allen, Bill Coleman (tp), J.C. Higginbotham (tb,vcl), Albert Nicholas (cl,as), Charlie Holmes (as,sop), Teddy Hill (ts), Luis Russell (p,dir), Will Johnson (bj,g), Pops Foster (b), Paul Barbarin (ds) (原盤 Okeh 8734) ディキシーの標準編成と思われていたトランペット、 トロンボーン、クラリネットによる三管ア ンサンブルが実はかなりあとになってから完成されたもので、ニューオリンズ・ジャズの絶頂期に 於いては、サックスが極めて重要な存在であったことを実証しています。

15.Thomas “Fats” Waller And His Hot Piano「Draggin’ my heararound」March 13, 1931 ファッツ(太っちょ)というでアダ名で知られたトーマス“ファッツ”ウォーラーは1920年代から頭 角を現わしてきたピアニストで、クラブでピアノを弾くほか劇場ではオルガンを弾きました。(中略)ウォーラーはまたすぐれた歌手でした。後期のものには、おどけ切って「イエス! イエス!」 を乱発する趣味のわるいものもありますが、そのペーソスにみちたバラードは絶品です。

16.Harlan Lattimore And His Connie’s Inn Orchestra「Chant of the weed」Langston Curl, Shirley Clay, Sidney DeParis (tp), Claude Jones (tb,vcl), Quentin Jackson, Benny Morton (tb), Don Redman (cl,as,vcl), Edward Inge, Rupert Cole (cl,as), Robert Carroll (ts), Horace Henderson (p,arr) Talcott Reeves (bj,g), Bob Ysaguirre (tu,b), Manzie Johnson (ds), Harlan Lattimore (vcl) June 17, 1932 日本コロムビアが日本で自主的に編集した「ジャズの歴史」に「ドン・レッドマン楽団」の名で 収録されたものと同一の母盤によるもので最初は「ハーラン・ラティモア楽団」 の名で出たので した。日本で最初に出た時《マリファナの歌》 という邦題がつけられましたが、この場合 weed (雑草)というのは麻薬タバコの原料であるマリファナを指しています。その麻薬に酔いしいれた気 分を音楽にしたもので、その奇怪なハーモニーはまさに当時として第一級の前衛的作品であったと 申せましょう。レッドマンはその後ながくこの曲を自分のテーマとして用いました。

17.Cootie Williams And His Orchestra「Epistrophy」 Chicago, April 1, 1942 未発売原盤による珍品です。《エピストロフィー》は 現在セロニアス・モンクのテーマ曲となっ ていますが,当時モンクとケニー・ クラークが共作しジョー・ガイがウィリアムスの許に特参。クー ティは早速デーヴ・マクレーにアレンジさせたものであります。バップの最も初期のレコーディン グであるこのレコードが今回はじめて陽の目をみたことは喜ばしい限りです。その頃この曲は 《フライ・ライト》と題されていました。

第三集「ハーレム」まえがき(一部抜粋)
愛好家の中には、本集の選曲方針があまりにも広範囲に亘っている点に不満を抱かれるかたがあ るかもしれません。しかし、その点にこそ、アラビアン・ナイト的なハーレム芸能の多彩さがう かがえるわけであります。

今回ご紹介したレコード「ジャズ・オデッセイシリーズ」(ニューオリンズ~シカゴ~ハーレム)

1.THE SOUND OF NEW ORLEANS 1917~1947(3枚組)
2.THE SOUND OF NEW ORLEANS 1923~1940(3枚組)
3.THE SOUND OF HARLEM(3枚組)

            以上